経常黒字が震災前に接近、昨年は16兆円超と急増-原油価格下落で

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  • 第一次所得収支も2兆6563億円増加して年間黒字を押し上げる要因に
  • 貿易より所得収支・サービス収支で稼ぐ構造に変化していくと宮前氏

モノやサービスを含む海外との総合的な取引を示す経常収支は2015年速報で、原油輸入額の減少により前年の6.3倍に拡大した。東日本大震災が起きて以降で最も大きく、震災前の水準に近づいている。

  財務省が8日発表した国際収支統計によると、15年の経常収支は16兆6413億円の黒字。年間黒字は震災があった11年から連続で減少していたが、5年ぶりに増加に転じた。原油輸入額減の主因は原油安で、財務省が参考値として示した原油価格は1バレル=55ドルと前年比で48%下落した。年間経常黒字が過去最大だったのは07年の24兆9490億円。

  15年黒字は前年比で13兆9955億円増えており、うち8兆6826億円が原油安による輸入の減少だった。海外配当金や債券利子などの第一次所得収支も2兆6563億円増加して年間黒字を押し上げた。12月の経常収支は速報で9607億円の黒字。ブルームバーグの調査による予想中央値(1兆517億円の黒字)は下回った。

  SMBC日興証券(金融経済調査部)の宮前耕也日本担当シニアエコノミストは、15年の黒字拡大の要因は原油安による輸入減だとした上で「これは一時的なものだ」と指摘した。生産拠点の海外移転を含めて貿易黒字は膨らみにくいとして、日本経済はモノ(貿易収支)よりもカネ(第一次所得収支)とヒト(サービス収支)で稼ぐ構造に変化していくと予想した。

(第1段落以降に年間黒字の水準などを追加して更新します.)
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