ドル・円は117円台前半、米利上げ期待が支え-FRB議長証言見極め

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  • ドルが116円80銭から一時117円49銭まで上昇、2日ぶり高値
  • 先週のFRB高官のハト派発言など受けたドル売り一巡-ソシエテ

8日の東京外国為替市場では、ドル・円相場が1ドル=117円台前半で推移。失業率の低下や賃金の伸びを背景に米利上げ期待がくすぶり、ドルが底堅い展開となった。

  午後3時15分現在のドル・円相場は117円37銭付近。ドルは朝方に付けた116円80銭を下値に、午後の取引で日本株の上昇に連れて一時117円49銭と2営業日ぶりの高値を付けた。前週末の海外市場では一時116円30銭と、1月20日以来の水準までドル安・円高が進んでいた。

  ソシエテ・ジェネラル銀行東京支店の鈴木恭輔為替資金営業部長は、米雇用統計を受けて、「フェデラルファンド(FF)金利先物で6月以降の利上げ織り込みが上昇するなど、先週見られた弱い米指標とハト派な米連邦準備制度理事会(FRB)高官発言を受けたドル売りに一巡感がある」と指摘。また、円要因でも「ドル・円の116円割れでは政府サイドからのけん制に対する警戒があり、円買いを進めづらい」と言う。

  東京株式相場は続落で取引を開始した日経平均株価がプラスに転換。午後には上げ幅が一時200円を超え、結局、184円71銭高の1万7004円30銭と、1万7000円台を回復して引けた。

  5日に発表された1月の米雇用統計では、非農業部門雇用者数(事業所調査、季節調整済み)が前月比15万1000人増と、前月の26万2000人増から伸びが鈍化。ブルームバーグがまとめた市場予想の中央値19万人増を下回った。一方、失業率は4.9%と、2008年2月以来の低水準だった。また、平均時給は前月比0.5%増と、市場予想の0.3%増を上回る伸びとなった。

  外為どっとコム総合研究所の石川久美子研究員は、前週末に発表された米雇用統計で、失業率や平均時給が良かったため、ユーロと円に対してドル高が進んだと説明。「米利上げペースへの関心が高い」とした上で、「FRBの要人発言ではハト派とタカ派で利上げペースの意見にばらつきがある」と言い、「イエレン議長が今週の議会証言でどちらにバイアスをかけるのかが鍵を握る」とみる。

  ユーロ・ドル相場は前週末に一時1ユーロ=1.1246ドルと、昨年10月以来の水準までユーロ高・ドル安が進行。その後はドルが値を戻す展開となり、この日の東京市場では1.11ドル台前半で推移している。

  上田ハーロー外貨保証金事業部の山内俊哉氏は、非農業部門の雇用者数について、「昨年10月以降、他の米経済指標と歩調を合わせるかのように増加幅を縮小させている点から、雇用拡大のスピード鈍化への懸念は残っており、手放しでは喜べない」と指摘。半面、失業率の低下や賃金の伸びを受けて、「年内の利上げはないとの行き過ぎた見通しに対して心理を変化させる一定の効果を果たす可能性がある」とみる。

  今週はイエレン議長が10日に下院金融サービス委員会、11日には上院銀行委員会で証言する。山内氏は、「賃金上昇や失業率の改善から、イエレン議長が米経済に自信を示せば、3月や6月利上げへの期待感がドルを上向かせる可能性がある」と予想。世界経済のリスクや米経済に対して慎重な見方や、ドル高がインフレを抑制するなどとして、けん制発言をした場合は、ドル一段安の展開が見込まれると言う。

  財務省が8日発表した国際収支統計によると、経常収支は9607億円の黒字。前年同月比で7348億円増えた。ブルームバーグの調査による予想中央値1兆517億円の黒字を下回った。貿易収支が原油価格下落を受けた原油輸入額の減少で、1887億円の黒字とプラスに転じた。外為どっとコムの石川氏は、経常収支と貿易収支について、「為替相場に直接影響を与えていない」としている。

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