米モルガンSと三菱UFJ、日本での合弁事業でさらなる人員増強へ

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モルガン・スタンレー三菱UFJフィナンシャル・グループが投資銀行業務を手がける日本での合弁事業で、さらなる人員増強を行う方針であることが分かった。同部門では過去2年で15%増員してきたが、今後も有能な人材を起用し、野村ホールディングスとの競合を目指す。

  三菱UFJモルガン・スタンレー証券の中村春雄副社長はブルームバーグとのインタビューで、各業界のカバレッジバンカーや企業の合併・買収(M&A)のプロフェッショナルなど、増員することで両株主と合意していることを明らかにした。具体的な人数などについては言及しなかった。

  米モルガンSと三菱UFJは日本企業関連のM&Aアドバイザリー(FA)業務で、合弁事業を通じ2015年まで3年連続で首位を維持。債券引き受けでもトップとなった。三菱UFJモルガンの設立から5年、これまでに築いたマーケットでの地位を固め、株式引き受けでも「トップハウス」の野村を追い上げる。

  投資銀行本部長でもある中村副社長は、日本では「メガバンクや外資系証券との競争」も激しく、同社のポジションを「サステーナブルに持っていくのは簡単ではない」と指摘した。一方、野村について「顧客は、同社は国内で多くの人員を擁することから、安定的であるとのパーセプションを持っている」と語った。

パイプラインは2、3割増

  中村副社長はまた、三菱UFJモルガンの日本関連M&Aにおける現在のパイプラインについて、昨年比で2割から3割増えていると述べた。今年は日本企業が1000億円を超える規模の海外企業を買収する案件のほか、国内企業同士の経営統合など業界再編も増えると見通している。

  一方、M&Aランキング2位の野村HDの柏木茂介最高財務責任者(CFO)は、今月2日の決算会見後のアナリストとの電話会議で「ビジネスオポテュニティは十分にあると思っている」とし、パイプラインは「そこそこに持っている」と語った。

  ブルームバーグ・データによれば、三菱UFJモルガンは15年に日本企業が絡むM&A助言で54件(718億ドル相当)を手がけ首位についた。後には野村、三井住友フィナンシャルグループ、米バンク・オブ・アメリカ、シティグループ、ゴールドマン・サックスが続く。

  今回の三菱UFJモルガンの日本での一層の陣容、業務拡大計画は、バークレイズなど欧州勢が資本規制の強化を背景に投資銀行業務を縮小する動きとは対照的だ。

戦略トップへのアクセス

  MUFGは米国を発端とする金融危機に見舞われたモルガンSに90億ドル(約1兆円)規模の出資を行った。現在も株式を22%を保有する筆頭株主となっている。

  合弁証券である三菱UFJモルガンは、日本を除く世界で2000人に上る米モルガンSのバンカーを最大限活用する考え。中村副社長はモルガンSのバンカーは「アメリカ、ヨーロッパ、アジアにおける情報や知見を持ち、普段からCEOやCFOなどトップと話しており、どういう会社が売りで、そのアセットに誰が興味を持ち、どの程度の金額なら買えるか、かなり精度の高い情報を持っている」と述べた。

  日本企業関連の株式引き受け業務では、三菱UFJモルガンは昨年、野村に続く2位だった。1.4兆円規模の日本郵政の株式新規上場(IPO)でともにジョイントグローバルコーディネーターを務めた。また来年度に予定される九州旅客鉄道(JR九州)のIPOでも野村、三菱UFJモルガン、JPモルガンがグローバルコーディネーターに選定されている。

ガリバー、Nomura

  三菱UFJモルガンの投資銀行部門の人員は、バンカーなどのプロフェッショナルで2年前の400人から460人に15%増加している。リテール事業を含む三菱UFJモルガン全体では約9%増え5170人となった。一方、野村の国内の人員数は12月末時点で1万6282人と、2年前からほぼ横ばい。

  中村副社長は「野村はこの国ではある意味ガリバーだった」と国内営業の規模、預り資産、主幹事を務めた企業の多さなど野村HDの優位性を指摘した。その上で「両株主からはプレゼンスを高めてほしい」との期待が高く、人員増強により「ソリューション、クオリティー、グローバル」という強みを付加価値として顧客に提供していきたいと述べた。

英文記事:Morgan Stanley to Hire More Bankers in Japan as Rivals Loom (1)

(第12段落に国内人員数の変化について追加しました.)
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