【今週の債券】長期金利ゼロ%付近の攻防、日銀緩和余波-米債警戒も

  • 長期金利の予想レンジは全体でマイナス0.005%~プラス0.10%
  • 30年入札は出遅れ気味の超長期が買われるきっかけに-バークレイズ

今週の債券市場では長期金利がゼロ%付近での攻防になると予想されている。日本銀行が前週末にマイナス金利政策の導入を決めたことを受けた買いが継続し、金利低下圧力が掛かりやすいとの見方が背景にある。

  長期金利の指標となる新発10年物国債利回りについて、ブルームバーグ・ニュースが前週末に市場参加者3人から聞いた今週の予想レンジは、全体でマイナス0.005%からプラス0.10%となった。前週は5日に0.02%まで低下し、過去最低水準を更新した。

  JPモルガン証券の山脇貴史チーフ債券ストラテジストは、「マイナス金利で売る人も減る。益出しで売っても次に何を買えば良いのか困る状況だ。プラス金利なら買う投資家はそれなりにいるとみられ、10年債利回りはゼロ%に近いプラス金利までは買われるイメージではないか」と話した。

  野村証券の松沢中チーフストラテジストは、「10年以下中心に過熱感が増し、相場が比較的大きく下落するリスクが高まってきた。だが不用意にアウトライトでショートを組めばリスクも相応にある」と指摘。「今日本国債で取引するならば、従来のレラティブバリューのルールが機能している超長期債を対先物、ないしはゼロの壁が機能する10年対比で購入することを勧める」と言う。

30年債入札と流動性供給入札

  財務省は9日午前、30年利付国債の価格競争入札を実施する。前回入札された49回債のリオープン発行となり、表面利率は1.4%に据え置かれる見込み。発行予定額は前回債と同額の8000億円程度となる。

  新発30年物の49回債利回りは1日に一時0.985%を付けて、2013年以来の1%割れとなったが、その後は水準を切り上げ、5日には1週間ぶり水準の1.09%まで上昇した。

  バークレイズ証券の押久保直也債券ストラテジストは、30年債入札について、「1.1%付近の利回り水準であればしっかりした需要が見込める」と指摘。「同入札は出遅れ気味の超長期が買われるきっかけになりそうだ」とみている。

  12日には流動性供給入札が予定されている。投資家需要の強い既発国債を追加発行する入札で、今回の残存期間5年超15.5年以下の国債が対象。発行予定額は5000億円程度となる。

  米国では、イエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長が10日に米下院金融サービス委員会で、11日には上院銀行委員会でそれぞれ証言を行う。

  バークレイズ証の押久保氏は、議会証言について、「タカ派的な発言には警戒だ」と指摘。ブルームバーグがフェデラルファンド(FF)金利先物を基に算出した利上げ見通しの確率は今年12月で53%程度となっている。

予想レンジと相場見通し

  市場参加者の今週の先物中心限月、新発10年物国債利回りの予想レンジと債券相場見通しは以下の通り。

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◎アムンディ・ジャパンの浜崎優市場経済調査部長
先物3月物=151円30銭-151円60銭
新発10年物国債利回り=0.01%~0.04%
  「長期金利は金利低下を試す展開が続きそう。低下余地はほとんどなくなっているが、需給は良好。外部要因としては景気に対する不安が出ており、金利の上昇要因は見当たらない。利回り曲線がつぶれており、持ち切りもできないが、日銀が買ってくるので売りにくい。FRB議長の議会証言については、市場で利上げ観測が後退しているのに、これまで特段のメッセージを発していない。市場との認識のギャップを埋めるような発言が期待される」

◎大和証券の山本徹チーフストラテジスト
先物3月物=151円00銭-151円65銭
10年物国債利回り=マイナス0.005%~0.06%
  「日銀が国債を買う強い意志を持っている限り、マイナス金利と長期国債の買い入れの両立は可能ということ。これが付利のマイナス0.1%を超えて、短中期ゾーンの国債利回りが大きくマイナスに沈んでいく理由。ゲームのルールが変わったともいえる。付利金利がマイナスであれば不確実性は高くなるものの、投資家はプラス利回りを求めて超長期ゾーンを選好する。付利金利と量的金融緩和の合わせ技政策は、資金シフトを促す効果が強い」

◎メリルリンチ日本証券の大崎秀一チーフ金利ストラテジスト
先物3月物=150円80銭-151円50銭
新発10年物国債利回り=0.00%~0.10%
  「米経済指標は最近弱い数字が続いているので、イエレン議長は議会証言でハト派的になる可能性がある。利上げペースは緩やかとの内容になるのではないか。円高・ドル安基調は反転しないとみている。1ドル=120円方向には行きにくい。30年債入札を控えて、超長期債は調整気味で弱い感じだが、入札後は強くなる見込み。入札で安く買って、日銀オペで高く売りたいとの思惑がくすぶる」
*T

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