伊藤忠独り勝ちの最高益、減損や資源安が利益下押し-商社決算

  • 住友商事と三井物産が今期純利益予想を下方修正、丸紅は据え置く
  • 伊藤忠は今期の最高益達成に相当の確度と自信

総合商社5社の2015年4-12月期の連結決算(国際会計基準)が5日、出そろった。資源価格下落の影響や減損損失の計上などで三菱商事や三井物産は2桁減益となるなど振るわなかった。一方、非資源分野が好調だった伊藤忠商事は過去最高益を計上。今期(2016年3月期)の純利益見通しも最高益となる期初予想を据え置いており、資源安が各社の利益を下押しする中で独り勝ちの様相を呈してきた。

  同日決算を発表した住友商事はニッケル事業に加えて南アフリカの鉄鉱石やチリの銅鉱山事業などでも減損を計上したと発表。10ー12月期の純損益は680億円の赤字となり、4-12月期の純損益は613億円の黒字(前年同期は103億円の赤字)にとどまった。

今期1700億円の減損

  同社はオーストラリアの石炭やブラジルの鉄鉱石事業なども含めて今期の減損損失は1700億円を見込む。期初予想の2300億円からいったん未定としていた今期の純利益見通しは1000億円にすると発表した。赤字転落した前期に続く多額の減損計上で2期連続の大幅な下方修正となった。

  会見した猪原弘之最高財務責任者(CFO)は「資源価格は全体にオーバーシュートしている。資源ビジネスは基本的に継続すると考えているが、価格が戻ってくるまで当面1−2年は耐える」と述べた。

  丸紅も4ー12月期に資源分野で前年同期並みとなる730億円の減損を計上した。事業評価益など一過性利益の計上もあり同期の純利益は前年同期比58%増の1218億円となった。国分文也社長は「資源分野は相当厳しい決算を強いられた」と述べた。通期純利益は期初予想の1800億円を据え置いたが「年明け以降、資源価格はものすごく動いており、3月末時点の見通しは非常に難しい。現在の市況から大きく価格が下がれば追加減損の可能性はある」と話した。

市況下落が収益圧迫

  三井物産は原油や鉄鉱石など市況下落の影響が1860億円の減益要因となったことに加えて、出資するチリのカセロネス銅鉱山事業で198億円の減損を計上。純利益は同47%減の1344億円とほぼ半減し、今期の純利益予想も下方修正した。

  三菱商事の内野州馬CFOも2日の会見で「年明け以降の資源価格の落ち込みが非常に厳しい」と指摘。「今後の長期的な需給動向の見直しも含めて保有資産の精査を年度末に向けて入念に進める必要がある」と述べ、追加の減損損失が生じた場合には速やかに発表すると話した。

  三菱UFJモルガンスタンレー証券の永野雅幸シニアアナリストは、原油・天然ガス、シェール、石炭・鉄鉱石、銅を中心とした三菱商事の資源資産の推定投資簿価の約1割に当たる「2000億円程度の減損を計上する可能性がある」との見方を2日付リポートで示した。
 
  「一過性の損益を除いた通常損益でも増益となっており力強い決算だった」と振り返ったのは伊藤忠の鉢村剛CFO。米シェール事業から昨年撤退するなど「懸念案件については早期の処理を続けている」と説明。英北海の油田権益で180億円の減損を計上したが、中国政府系企業への出資による利益貢献が始まったほか、海外でのパルプ事業などが好調だった。過去最高益を見込む通期見通しについては「達成の確度は極めて高い」と自信を示した。

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