ドルは116円後半、米利上げ観測後退が重し-雇用統計控え下値限定

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  • 一時116円56銭と前日付けた1月21日以来の安値に接近、その後戻す
  • 米雇用統計の結果次第では一段のドル安リスク-三井住友銀・呉田氏

5日の東京外国為替市場では、ドル・円相場が1ドル=116円台後半で推移。米国の利上げ先送り観測が重しとなる一方、米雇用統計の発表を控えてドルの下値も限られた。

  午後4時10分現在のドル・円相場は116円82銭前後。午前に116円98銭まで水準を切り上げた後、午後には一時116円56銭と前日の海外市場で付けた1月21日以来の安値(116円53銭)に迫る場面が見られたが、その後は値を戻した。

  三井住友銀行市場営業部為替トレーディンググループの呉田真二グループ長は、米経済指標の下振れや米金融当局者のトーンがハト派化してきていることを受け、米利上げ見通しが一段と後退し、「年内1回利上げがあるかどうかという状況になっている」と説明。1月の米雇用統計は「年末商戦のための雇用の反動や強かった12月分の反動もあり、下振れリスクがある」とした上で、米雇用統計の結果次第では「一段のドル安のリスクがある」と語った。

  ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト調査の予想中央値によると、5日発表の1月の米雇用統計で非農業部門雇用者数は前月比19万人増加したと見込まれている。昨年12月は29万2000人増だった。

  ブルームバーグがアナリストやストラテジストを対象に実施した調査では、今回の米国の引き締めサイクルにおける政策金利の最高水準の予測は中央値で2.875%と、昨年7月調査の3.375%から下方修正された。

  米ダラス連銀のカプラン総裁は4日、米金融政策当局者らが3月の会合で金利についてどのような決定を下すのか判断するのは時期尚早だとし、当局者らは不透明な世界見通しが米国の雇用やインフレに及ぼす影響を見極めていると話した。一方、米クリーブランド連銀のメスター総裁は、世界経済の成長見通し悪化に伴う金融市場の混乱の後でも、米経済が緩やかな利上げを正当化すると引き続き予想していることを明らかにした。

  ドル・円は日本銀行によるマイナス金利政策の発表を受けて、先週末に昨年12月以来となる121円台後半まで急伸したが、3日には118円台を下回り、日銀会合前の水準に戻した。

  外為どっとコム総研の神田卓也取締役調査部長は「黒田日銀総裁がマイナス金利を導入したのも、ドル・円が一瞬でも116円台を割り込んだからという見方が強い」とし、米雇用統計の結果次第で115円台を一瞬付けることがあっても、「いったんは買い戻しが入る水準ではないか」と話した。 

  一方、三菱東京UFJ銀行の野本尚宏調査役(ニューヨーク在勤)は、「日銀がマイナス金利をやったところで、協調してやらないと、単独ではリスクオフは止められないということだ」と言い、米雇用統計が崩れると「本格的なリスクオフになってしまう可能性もある」と指摘。さらに、週末発表の中国の外貨準備が減少していると新興国通貨売りが再燃する可能性もあり、そうなればリスク回避が「止められない感じになってしまうかもしれない」と話した。
  
  ユーロ・ドル相場は前日の海外市場で1ユーロ=1.1239ドルと昨年10月22日以来の水準までユーロ高・ドル安が進んだが、この日の東京市場では1.1200ドル前後でもみ合う展開。ユーロ・円相場は1ユーロ=130円台半ばから後半で推移した。

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