【インサイト】銀行の返済能力も不安-エネルギー安と中国減速で

投資家が心配し始めているのは主要銀行の利益減少にとどまらない。銀行の債務返済能力への懸念も膨らみつつある。

  如実な例がドイツ銀行だろう。同行は債券トレーディング収益の落ち込みと増収への戦略不透明で苦戦中だが、投資家から見るともう一つ不安材料がある。エネルギー価格急落によって大規模な損失を計上するリスクだ。

  エクサンBNPパリバのアミット・ゴール、ジャグ・ヨガラジャ両氏は3日付のリポートで、ドイツ銀に「投資適格ではなく担保も十分ではない」エネルギー関連の「大きな」エクスポージャーがある可能性を指摘した。両氏は今年の貸倒引当金が11億4000万ユーロ(約1490億円)に膨らむと予想しており、その増加率はアナリスト予想平均の19%を上回る。

  ドイツ銀の下位劣後債(表面利率6%の偶発転換社債)の価格は4日時点で0.765ユーロと、昨年末の0.932ユーロから下落。返済順位の低いユーロ建て債は年初来リターンがマイナス3.5%と、同種の銀行債の中でもパフォーマンスの悪さが際立っていることをバンク・オブ・アメリカ(BOA)メリルリンチの指数が示している。ドイツ銀の劣後債のデフォルト(債務不履行)に備える保証料は上昇傾向にある。

  このような状況はドイツ銀に限らない。英銀HSBCホールディングスの劣後債の保証料はデリバティブ(金融派生商品)市場で2012年以来の高さ。スタンダードチャータードの劣後債では09年以来の高水準だ。

  HSBCとスタンダードチャータードは景気減速中の中国での事業の割合が大きく、不良債権拡大が見込まれる同国の企業向けエクスポージャーが明らかに懸念されている。

  一部大手銀行のクレジットリスクがこのように注目される状況は、将来の利益率について疑問が生じても信用面はしっかりしているように見えたここ数年とは異なる。コストとリスクテークの削減を迫った規制強化で、銀行は少なくとも理論上は債務返済能力が向上するはずだった。

  その理論はしかし、最悪の場合に償還が見込めない銀行劣後債の購入を投資家が正当化するには十分でない。こうした銀行債の売りは急速に進んでいるもようで、特に商品関連、あるいは中国の借り手へのエクスポージャーが大きい欧州の銀行債で顕著だ。

  銀行がエネルギー価格の値下がりと世界的な成長減速からどの程度の痛手を受けるのか、投資家には見当がつかない。そして彼らの多くは、その実態が分かるまで待っていることはない。

(このコラムの内容は必ずしもブルームバーグ・エル・ピーの意見を反映するものではありません。)

原題:Deutsche Bank Leads New Worry About Banks’ Credit Risk: Gadfly(抜粋)

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