鴻海会長とシャープ、再建策の優先交渉権めぐり見解に相違

更新日時
  • 郭会長「サインした」、2月29日に正式調印の運び
  • 優先交渉権与えたとの報道は事実でない-シャープ発表

台湾の鴻海精密工業の郭台銘(テリー・ゴウ)会長は5日、大阪のシャープ本社で高橋興三社長らとの協議後、同社再建策をめぐり優先交渉権を得たと語った。これに対しシャープは同日夕、同会長の発言をめぐる報道について、優先交渉権を与えた事実はないとする文書を発表、主張に食い違いを見せた。

  郭会長はシャープ本社前で記者団に、「優先で交渉できる権利のサインをした」と述べ、書面を見せた。2月29日までに正式調印するという。会長は「正式調印したかったが、多くの法的手続きがあり今日は完成しなかった」と述べた。その上で「必ず成功する。90パーセントは乗り越えた」と語った。

Terry Gou speaks on Friday, Feb 5.

Photographer: Buddhika Weerasinghe/Bloomberg

  シャープは郭会長の会見後、「当社の経営再建に関する一部報道について」と題する文書を発表。鴻海に優先交渉権を与えたとの報道は「当社の発表に基づくものではなく、そのような事実はありません」とした。またこの日鴻海と締結した合意内容は、最終的な契約条件について誠実に協議を継続する、鴻海は提案の有効期限を2月29日まで延長する-の2点だとした。

  シャープ広報担当の吉田敦氏は取材に、「この件で優先交渉権を与えるには取締役会の決議が必要だと考えている。昨日の取締役会では優先交渉権を与えておらず、今日は取締役会を開いていない」と答えた。さらに、引き続き政府系ファンドの産業革新機構とも協議しているとした。

  シャープの経営危機はテレビ不振などで2012年3月期に巨額赤字を計上したことで表面化し、前期(2015年3月期)も2223億円の純損失を計上した。シャープは資産売却や人員削減によって立て直しを図ってきたが、液晶事業の悪化により外部支援が不可避の状況となっている。

協議9時間

  高橋社長は4日の記者会見で、シャープに支援策を提案している鴻海と政府系ファンドの産業革新機構双方と協議を続け、今後1カ月をめどに契約締結を目指すと述べていた。関係者が匿名を条件に語ったところによると、郭会長はこの会見後にシャープ側に面会を求めた。郭会長は早期決着を求めて、5日の大阪での協議に臨んだ。話し合いは約9時間に及んだ。

  郭会長は記者団に、シャープが強みとしている液晶技術について、「かつては最先端だったが、ここ2-3年は韓国勢が優勢になってきた」と分析。シャープは投資能力が厳しくなってきており、「早く資金を入れて液晶技術を世界一に戻したい」と語った。シャープの若いエンジニアは素晴らしく、40歳以下の社員を解雇することはないと述べた。またシャープを解体することはせず、ブランド継続を保証するという。

  関係者によると、鴻海が示している買収による支援総額は約6600億円。郭会長は1月31日、鴻海案は競合に比べて優れており勝つ自信があると台北で語っていた。

  これに対し機構の志賀俊之会長(日産自動車副会長)は同月25日、シャープの成長のため3000億円程度が必要だと記者団に説明。また機構の再建案では液晶事業を切り離して赤字を解消した上で、他の事業についても成長戦略を描くと述べた。

  郭会長は12年にシャープの液晶事業の堺工場に出資し、黒字化に成功した。シャープ本体への9.9%の出資にも合意していたが、資金の払い込み前にシャープの株価が急落したため、頓挫した経緯がある。

(シャープの発表文書を加え、全体構成を更新します.)
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