「弱気相場」入り日本株、平均脱出期間は7カ月半-バブル崩壊後14回

高値からの下落率が2割を超え、2年ぶりにいわゆる「弱気相場」入りした日本株。過去の経験則では、一度入ると脱出までには平均で7カ月半かかっており、今回のケースではさえない展開が夏場まで続く可能性がある。

  日経平均株価は1月20日の取引で前日比3.7%安の1万6416円まで下落、昨年6月24日に付けた1996年12月以来の高値2万868円からの下落率が20%を上回った。弱気相場からの脱出には、反対に安値からの上昇率が20%を超す必要があり、今回は1月21日安値の1万6017円を起点にすると1万9220円。バブル相場崩壊の90年以降では、弱気入りはこれまで14回、ブルームバーグの調べで平均調整期間は7カ月半だった。経験則に従えば、8月30日が一つの目安だ。

  株価水準面では、弱気相場入りからさらに平均で18%下落する結果が得られた。今回のケースでは1万3461円に相当、2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催が決まった13年9月の水準に逆戻りすることになる。15年6月高値からの調整率は35%に及ぶ。

  セゾン投信運用部の瀬下哲雄ポートフォリオマネジャーは、「景気は良くないが、日米欧の金融緩和によって株価は押し上げられてきた。こういう緩和は永遠に続かないと皆が思っていた」と言う。1月以降の株安の根底には米国の利上げがあるとし、「夢から覚めるときがくると思うと、投資家心理は下向きになる」と指摘した。

  過去の弱気相場の継続期間で最長は、97年1月から99年3月までの533営業日。この間、タイ・バーツの暴落を引き金にアジア通貨危機が起こり、日本では北海道拓殖銀行や三洋証券、山一証券が次々破綻、日本長期信用銀行と日本債券信用銀行が国有化されるなどデフレスパイラルの中で金融システム不安が市場を揺さぶった。

  半面、最短はリーマン・ショックを受け鋭角的に下げた後の09年2月からの22営業日。これに、リーマン・ブラザーズ破綻直後の08年9月18日から10月29日までの27営業日が続く。08年のケースでは、弱気入り後に日経平均がさらに38%下げ、自律反発も起きやすかった。

  セゾン投信の瀬下氏は、「過去の弱気相場入り後の調整期間はばらつきがある。嫌な予感がするのは、今回は日欧の緩和政策方針に株価が反応していないことだ」と話す。日本銀行が1月29日に国内初のマイナス金利政策を導入、その後に株価上昇が続かなかったのは金融政策の手詰まり感を表しているとし、「副作用のある政策に『黒田日銀』に対する市場の信認も落ちた。長い調整シナリオも頭に入れておかなければならない」と警戒感を示す。

弱気後の2割以上下落は6回

  一方、株価が弱気相場入り後にさらに2割以上下落したケースは6回ある。リーマン破綻直後の38%をはじめ、バブル相場崩壊の第1ステージである90年3月からは34%、第2ステージの91年8月からは33%下げた。対照的に弱気後の調整が軽度だったケースは、前回13年6月のゼロ、10年8月からの2%下落、93年11月の4%下落などが挙げられる。

  LGTキャピタル・パートナーズの熊田幹夫グローバルストラテジスト(香港在勤)は、「1月のボラティリティはファンダメンタルズに基づいたものではなかったが、さらにボラティリティが激しくなれば、投資家心理にダメージを与えることがある」と指摘。こうした状況下で、「中央銀行の政策や素晴らしい経済指標が今後出ない限り、今の投資家心理を変えることは難しいかもしれない」と予想した。

  セゾン投信の瀬下氏は、経験則で株価の方向性を知ることは難しいが、値幅に関しては経験則が当てはまるとみている。同氏によると、1年間の世界の株価変動率の1標準偏差は20%、2標準偏差は40%。日経平均の昨年末値1万9033円を起点とした1月安値はマイナス16%の水準で、1標準偏差の中にある。「年間で40%の変動は投資家として想定しておく範囲。マーケットは将来の予想で変動するもので、それだけ動くものだ」と述べた。

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