東芝:今期純損失予想を過去最大の7100億円に修正、リストラ拡大

更新日時
  • 今期の営業損益見通し4300億円の赤字に下方修正-従来3400億円赤字
  • 家電再編のパートナー、「シャープも選択肢の一つ」と室町社長

不正会計問題からの立て直しを進める東芝は4日、今期(2016年3月期)連結純損益見通しを7100億円の赤字とし、昨年12月に発表した前回予想5500億円の赤字から下方修正した。各事業部門でリストラをさらに進め、過去最大の損失を見込む。

  営業損失の見通しも従来の3400億円から4300億円に下方修正。修正後の純損失額見通しはアナリスト10人の予想平均5055億円を上回る。営業損失額も同11人予想平均3278億円を上回る。室町正志社長は決算後の記者会見で、潜在的な損失について「最大限今年度中に処理を行いたいと考えた」と述べた。

  部門別では、電力・社会インフラの不採算案件の引き当てや送変電・配電事業の資産評価減を行った。電子デバイス部門は在庫の評価減を行い、ライフスタイル部門でも収益の悪化やパソコンの海外法人清算費用を織り込んだ。

  三菱UFJモルガン・スタンレー証券の宮本武郎シニアアナリストは、決算発表を受けたリポートで「不正会計により隠蔽されていた収益力の低下は想像以上に深刻であり、マクロ景気の悪化も考慮すると、来期以降の事業再生への道のりは相当厳しくなってきたと言えよう」との見方を示した。

  一方、2015年10-12月期の純損益は5167億円の赤字となった。赤字幅はアナリスト4人の予想平均1115億円を大きく上回った。営業損失は1390億円(市場予想1429億円の赤字)、売上高は1兆4490億円(同1兆4591億円)。同社によると、12月末の株主資本は5275億円と、前年比で58%減少した。

  一段の業績悪化を受けて、室町正志社長は月額報酬の90%返上を継続するほか、執行役は月額報酬の減額幅を30~40%とし、従来の20~30%から拡大する。課長級は月1万円の給与減額。室町社長は6月をめどに相談役制を廃止する考えを示した。  

不正会計問題

  同社では昨年、不正会計が発覚。14年4-12月期までの約7年間で計1552億円の純損益をさかのぼって下方修正、関与した歴代社長や取締役が辞任した。過去最大の課徴金を科され、責任追及のため損害賠償を求めて旧経営陣を提訴している。不採算事業を隠蔽(いんぺい)しようとしたことが不正会計の一因となっており、実態に合わせた構造改革を迫られている。

  岩井コスモ証券の西川裕康アナリストは決算前の取材で、不正会計を受けて「東芝が示す数字に対する信頼感が弱まっている」と批判。「室町社長自身が構造改革の現状と見通しについてきちんと説明する必要がある」と述べた。来期以降の会社の見通しについても「メッセージを打ち出さなくてはならない」と話した。

家電再編、シャープも選択肢

  室町社長は同日の決算会見で、パソコンと家電については「構造改革を進めつつ他社との協業を模索していく」と述べ、特に家電再編のパートナーとして「シャープも選択肢の一つ」との考えを示した。 車載用デバイスと高密度集積回路(LSI)の両事業は継続すると言う。東芝は今回、ヘルスケア事業で約90人、ハードディスクドライブ(HDD)事業で約150人の計240人規模の再配置や早期退職優遇制度の実施を発表した。

  昨年12月の「新生東芝アクションプラン」によれば、同社は構造改革を今期(2016年3月期)中に断行し、費用として2600億円を計上するとしていた。家電やパソコンなどの課題事業で1万人超の削減を行うほか、海外の工場やテレビ・パソコンの開発拠点がある青梅事業所の売却を決めた。ヘルスケア事業の中核と位置付けていた医療機器子会社の東芝メディカルシステムズ(TMSC)の株式も売却する方針。

  米原子力事業子会社ウェスチングハウス・エレクトリック(WH)の一部事業では、2012-13年度決算で計13億ドル(約1600億円)の減損損失を計上した。ただWH全体では利益が出ており、東芝は今回の決算で減損処理を見送った。

(第9段落で室町社長の発言を追加しました.)
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