【インサイト】人員削減で終わりと思うな、バンカー窮地の2016年か

これほど人員削減しても効果がほとんど上がっていない業界も珍しい。

  英銀HSBCホールディングスは今年、雇用と報酬を凍結。バークレイズは投資銀行部門で約1200人の削減を予定。2015年通期が赤字となったドイツ銀行はボーナスを削る。このように既にバンカーには暗い年明けとなっているが、この状況は今年に限らない。ブルームバーグのデータによれば、業界では08年の金融危機以降に50万人の職が失われた。

  そして16年の欧州では銀行の状況が悪化しそうだ。収入が低迷するからだ。スイスのUBSグループが2日発表した15年10ー12月の決算では投資銀行部門の減収が示された。

  度重なる人員削減にもかかわらず、投資銀行のコストは高いままだ。絶対額でも収入に比べた割合をみてもそうだ。UBSの投資銀部門でのこの割合は2日の同行発表によると93%。

  調査会社コーリションによると、世界的な大手金融機関のフロントオフィス人員数は10年以降に23%減少。これに対し、報酬や諸経費を含めた全体のコストは8%しか減っていない。同社によれば10年から14年の間に収入は12%減少しているので、利益率が打撃を受ける。株主資本利益率(ROE)はドイツ銀とバークレイズ、クレディ・スイス、UBS、BNPパリバで10年の水準を下回っていることをブルームバーグのデータは示している。また、マッキンゼーによると、グローバルバンクのROEは金融危機以降は資本コストを上回っていない。

  欧州の金融機関は米国の同業者と比べて人員削減が遅れた。専門家によれば、1人当たりの平均報酬は過去5年であまり変わっていない。この主な要因には、投資銀行が業績はいずれ回復すると踏んで経験豊かなスタッフを残してきたことが挙げられる。

  また、人員採用が進んでいる分野もある。08年の危機以降の規制強化とリスク管理の必要性の高まりを受けたコンプライアンス(法順守)関連だ。ここでのスタッフ採用が他の分野での削減を相殺し、しかも収入押しあげにはつながらない。

  銀行には単に人員を削減するよりも、事業をまるまる切り捨てることが必要かも
しれない。例えば債券・通貨・ 商品(FICC)トレーディングはコストばかりかかって収入押しあげに寄与していない。ドイツ銀ではFICCの収益は17%落ち込んだが、ゴールドマン・サックスのアナリストらによれば、他の欧州銀でも平均22%減少するもよう。

  銀行が大なたを振るう事業について厳しい決定を下すかどうかを判断するには時期尚早だが、採用凍結と報酬カットは始まりにすぎない。それだけでは十分でないのだから。

  (このコラムの内容は必ずしもブルームバーグ・エル・ピーの意見 を反映するものではありません。)

原題:Bankers in Europe Have the Most to Fear in 2016 Job Cuts: Gadfly(抜粋)

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