円全面高、原油安・株安でリスク回避圧力-マイナス金利後の下げ縮小

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  • 対ドルで一時119円42銭、日銀の追加緩和発表当日以来の高値
  • 原油先物は30ドル台割れ、日経平均株価は3.2%安で取引終える

3日の東京外国為替市場では円が全面高。原油安や株価の下落を背景にリスク回避の動きが優勢となり、対ドルでは1ドル=119円台半ばまで上昇した。

  午後3時40分現在のドル・円相場は119円61銭前後。一時は119円42銭と日本銀行がマイナス金利政策の導入を発表した1月29日以来の水準まで円買いが進んだ。円はニュージーランドドル以外の主要31通貨に対して前日終値比で上昇している。

  SMBC信託銀行プレスティアの尾河真樹シニアFXマーケットアナリストは、日銀のマイナス金利政策発表は115円突破の可能性もあった円高を止めたという点で非常に意味があったが、原油安などの「海外からの逆風があるのでそこでどう戦うかが難しい」と指摘。「短期的に逆風でもっていちいち円高というのはこれからもしばしばあると思う」と語った。  

  先週末は日銀によるマイナス金利政策導入を受けて、リスクセンチメントの改善から世界的に株価が大幅上昇。外国為替市場では円が急落し、ドル・円は118円台半ばから昨年12月以来の水準となる121円69銭まで円安が進んだ。しかし、2日にはニューヨーク原油先物が1バレル当たり30ドルの節目を再び割り込み、株価も下落。リスク回避の動きが強まる中で、ドル・円は先週末の円の下落幅の約3分の2を取り戻す格好となっている。

  3日の東京株式相場は大幅下落し、日経平均株価は3.2%下げて取引を終了。中国・上海総合指数も反落し、アジア株は全面安となっている。

  スタンダードチャータード銀行金融市場営業本部の好川弘一ディレクターは、「ドル・円は株安、原油安、金利低下という海外の流れを引き継いで、日経平均の下落に引っ張られる形で下落している」と説明。もっとも、「119円50銭近辺は押し目買いをしたい投資家などもそれなりにいるのではないか。マイナス金利導入はそれなりに円を買いづらくさせている」と話した。

  ユーロ・円相場は一時1ユーロ=130円42銭と3営業日ぶりの水準までユーロ売り・円買いが進行。同時刻現在は130円69銭前後で取引されている。ユーロ・ドル相場は1ユーロ=1.0925ドル前後。

円金利低下

  日銀の黒田東彦総裁は3日、都内で講演し、金融緩和手段が限界に近づいているとの見方が出ていることについて「私にはとても違和感のある表現だ」と述べ、「果たすべき目的のために必要であれば、そのために新しい手段や枠組みを作っていけばよい」と語った。

  3日の債券相場は上昇。長期金利のほか、新発2年債や5年債利回りが過去最低を更新した。
  
   SMBC信託銀の尾河氏は、これほどの円金利の低下を見ると、円が持続的に上昇していくという絵は描きにくいとし、「長い目で見ればマイナス金利政策導入の意味は出てくる」と語った。また、IGのチーフマーケットストラテジスト、クリス・ウェストン氏(メルボルン在勤)は、「日銀の目的は利回り曲線を平坦化し、人々が円買いから強い確信を得ないようにすることだ」とし、今後もバランスシートや金利構造の観点からさらに手を打つ能力があることを警告し続け、円買いの動きをけん制し続けるだろうと話した。

  リスク回避の動きが強まる中、米国では1月のADP雇用統計と供給管理協会(ISM)非製造業景況指数が発表される 。ブルームバーグがまとめたエコノミスト調査によると、1月の民間部門雇用者数は前月比19万3000人増(予想中央値)の見込み。ADP雇用統計は米労働省が5日に発表する雇用統計の前哨戦となる。

  三井住友銀行市場営業部NYトレーディンググループの柳谷政人グループ長(ニューヨーク在勤)は、米国では製造業景況指数の50割れが定着しつつあり、米国株も買っていくには「コンビクション(確信)が得られない」と指摘。根っこにリスクオフの話が流れ続けている中で、「米国サイドが引っ張るといっても、雇用統計だけでセンチメントをがっつり変えるというのはちょっと難しい」とし、むしろ雇用統計が悪い場合の方が注目されると予想している。

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