日銀マイナス金利で社債需要増、信用リスク取る-企業の発行は減少へ

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  • 利回りがマイナスの国債をたくさん持てない-朝日ライフ中谷氏
  • 社債発行は今年度、来年度にかけて減っていく可能性-みずほ証

日本銀行は先週の金融政策決定会合で、金融機関の当座預金へのマイナス金利導入を決定。国債より少しでも高い利回りを見込める社債に投資家の需要が集まりそうだが、企業の発行はむしろ減るとの見方が出ている。

  日銀追加緩和で年限が8年までの国債利回り(イールド)がゼロを下回る中、高収益が取れる社債需要はさらに増す。朝日ライフアセットマネジメントの中谷吉宏シニアファンドマネジャーは、国債投資も一定程度はやむを得ないが、利回りが「マイナスのところをたくさん持つわけにはいかない」と話す。「プラスのイールドを確保できるところにいかないといけないので、クレジットリスクを取らざるをえない」と述べた。

  銀行の貸出残高は昨年12月まで51カ月連続で前年比増となっているが、社債市場は縮小を続けており、日本証券業協会によると、昨年11月末時点の発行残高は6年ぶりの低水準となる57兆5000億円に縮小。2012年12月の安倍晋三政権発足後から5.3%減っている。発行額も減少傾向にあり、15年には09年の約半分の7兆9000億円にとどまった。

  ニッセイ基礎研究所の年金研究部長・徳島勝幸氏は、ベース金利となる国債金利が低下したことで、社債は「スプレッドが大きく乗っていないと発行が難しくなる」と予想し、特に年限が短いものほど影響を受けやすいと語った。社債のスプレッドが拡大した結果、企業が銀行融資などの「社債に頼らない資金調達に傾いていく可能性がある」とした。

  中谷氏は、社債の発行企業側からみると「銀行融資の方が有利な条件」で調達可能なことが多く、近い将来に資金需要増が見込めない状況もあり、マイナス金利導入後に社債発行を見合わせる動きが出てくると指摘した。

社債の需給ギャップ

  日銀は1月29日、金融機関の当座預金に対して0.1%のマイナス金利を導入すると発表。適用されるのは、2月16日以降の準備預金の積み期間からで、黒田東彦総裁は金利を今後、必要な場合さらに引き下げるとしている。SMBC日興証券の伴豊チーフクレジットアナリストは、保有する国債が償還期限を迎えるにつれて、金融機関は社債を含む利回りのある資産への投資がますます必要となってくるとの見方を示した。

  みずほ証券のクレジットアナリスト、金子良介氏も、投資家と発行企業の希望条件が一致せず、社債発行が今年度減る可能性があり、来年度にかけて「厳しさが一段と増す可能性がある」と述べた。

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