債券市場のインフレ重視派、損失被ってもTIPSにあくまで強気

更新日時
  • インフレは「必ずしも予測しやすくはない」とPIMCOアルソフ氏
  • ゴールドマンはインフレが上向くと予想、10年物TIPSを推奨

米債券市場では、インフレへの賭けはここ何年か成功とは言い難いが、大口債券投資家の一部はひるんではいない。

  インフレ連動債(TIPS)は少なくとも通常の米国債のリターンに比べると、3年にわたり後れを取っているものの、パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)やブラウン・ブラザーズ・ハリマンはあくまで楽観的だ。インフレ率が向こう30年間は2%に近づかないと予想する債券市場は原油急落に過剰反応していると、両社は分析する。

  米経済の基調的強さを背景に賃金は5年余りで最も急速な伸びとなっているが、投資家がこうした経済の強さを見落としているため、インフレ連動債は見逃せないほど割安になっているという。

  PIMCOのミュンヘン在勤ファンドマネジャー、マイケル・アルソフ氏は「われわれは依然長期のTIPSを選好している」と話す。PIMCOは2013年以来TIPSに強気で、2025-45年償還のTIPSの大口保有者の一角を占める。「当社の見方はファンダメンタルズ(経済の基礎的諸条件)から組み立てたもので、ファンダメンタルズは米国の成長とインフレが上向くことを示唆している。ただ、インフレは必ずしも予測しやすくはない」と同氏は語る。

  消費者物価上昇率は12年以来2%未満にとどまり、インフレ強気派は厳しい状況にある。この間の米TIPSのリターンがマイナス5.5%に対し、通常の米国債はプラス5.6%。

  世界的に同じトレンドが広がっており、インフレ連動債は通常の国債にリターンで約5ポイント出遅れている。

  モルガン・スタンレーの欧州金利戦略責任者、アントン・ヒーズ氏は「市場はインフレ統計が原油相場の影響で回復しないことに再三失望させられている」と述べ、資源安や海外の物価上昇の弱さを考えると、「市場がこれほど弱気になる理由は理解できる」と話す。

  TIPSと通常の米国債との利回り差に基づくインフレ見通し(30年)は前月、1.49%に低下し、2009年初め以来の低水準を付けた。

  これはゴールドマン・サックス・グループにとっては低過ぎる水準。同行は昨年11月、2016年は米国で「リフレの年」になると予想していたが、原油急落ですぐに足をすくわれた。それでも同行は今月、エネルギー価格など変動の激しい項目を除けばインフレ見通しははるかに明るいと指摘。10年物TIPSの購入を推奨している。

  
原題:Bond-Market Inflationistas Say They’re No Fools as Losses Mount(抜粋)

(市場のインフレ見通しや市場関係者のコメントを追加します.)
    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE