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企業は消費活性化や訪日客増期待も、金融機関は警戒-日銀の追加緩和

  • 経済活性化すれば収益増期待の一方、輸入原材料コスト高も
  • 「金融機関の収益には良いと思わない」と新生銀社長

日本銀行が打ち出した追加金融緩和策は、国内企業や金融機関にさまざまな影響を及ぼす。決算発表の集中日でもあった29日に記者会見に臨んだ各社のトップからは、消費需要喚起や円安への期待の一方で、警戒する声も上がっている。

  「企業の先行き不透明感が払拭(ふっしょく)される好影響を期待している」とホンダの岩村哲夫副社長は述べた。日銀が目指す物価上昇率2%という目標への「的確な対応をとってもらった」という。

  消費の活性化を通じた収益増への期待も高まる。ダイハツの別所則英上級執行役員は「連鎖反応で当然賃金も含めて経済が活性化していけば、車の販売もよくなる」と話す。NTTドコモの加藤薫社長は「日本景気の好循環の契機になる」ことを期待し、「消費によい影響が出るといい」と述べた。

  輸出企業にとっては円安により海外収益がかさ上げされる効果もある。日野自動車の梶川宏専務は業績にとって「ポジティブなことは間違いない」という。

訪日客のさらなる増加も

  円安は、急増する訪日外国人客のさらなる拡大にも貢献する。ANAホールディングスの平子裕志取締役執行役員は「円安はインバウンドにプラスになる」と話す。日本航空の斉藤典和専務も「現在、旺盛なインバウンドの需要があり、円安への流れはプラスの効果がある」と述べた。

  一方で、原材料を海外から調達する企業にとって円安はマイナス。ソニーの吉田憲一郎副社長は「ドル高は業績へのインパクトはマイナス」と述べた。同社はドル建てで購入する部品の割合が高く、円安はコスト高につながる。

利ざや低下が継続

  金融機関の受け止め方は複雑だ。新生銀行の工藤英之社長は「経済へのプラス効果」を通じて企業の信用力や収益力強化の恩恵を受けるとしながらも、金利低下を通じて利ざやの低下も継続するとして「金融機関の収益には良いと思わない」と述べた。

  保険会社もプラスとマイナス両面の影響を受ける。あいおいニッセイ同和損害保険の次期社長に就任する金杉恭三専務は29日の発表会見で「経済には良い影響の期待がある」として、円安や株高を「大変歓迎する」と述べた。保険会社は企業の新規設備投資が増えることで、それらに掛ける保険を通じて収入アップにつながる。

  三井住友海上火災保険の次期社長に就任する原典之副社長は、同じ発表会見で保険会社の収益について「保険引き受け利益と資産運用収益で利益が構成されており、安定的に得られる金利収入が落ち込む」とみている。これを補う資産運用が課題だと述べた。

「銀行がもう一歩」

  不動産業界は景気回復と金利低下の両面から恩恵を受ける。不動産投資会社のロードスターキャピタルの岩野達志社長は電話インタビューで「政府が本腰を入れて景気を支えようという認識が見えるので、安心感が見える」と述べた。

  一方で銀行に注文も出した。「マイナス金利になったからすぐに融資が受けやすいというわけではないと思う。今回の決定を受けて、銀行がもう一歩踏み出していければ非常にポジティブだ」と話した。

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