今週の債券市場では長期金利が低下すると予想されている。日本銀行が前週末の金融政策決定会合でマイナス金利の導入に踏み切ったことに伴い、期間の長いゾーンにも買い圧力が強まりやすいとの見方が背景にある。

  長期金利の指標となる新発10年物国債利回りについて、ブルームバーグ・ニュースが前週末に市場参加者3人から聞いた今週の予想レンジは、全体で0.05ー0.15%となった。前週は29日の日銀会合結果を受けて水準を切り下げ、一時0.09%まで低下。新発2年債利回りと新発5年債利回りはともにマイナス0.085%まで達し、過去最低を更新した。

  パインブリッジ・インベストメンツ債券運用部の松川忠部長は、「日銀のマイナス金利導入で利回りのアンカーが外れた以上、10年債入札は頭の切り替えが必要だ」と指摘。「日本の投資家は金利のあるものを買わざるを得ない」と話した。

  今回の会合では、日銀当座預金を「基礎残高」、「マクロ加算残高」、「政策金利残高」に分け、プラス0.1%、ゼロ%、マイナス0.1%の金利を適用することが決定。基礎残高は各金融機関の2015年1ー12月の平均残高。マクロ加算残高は当座預金の所要準備額に加え、貸出支援基金や被災地金融機関支援オペで資金供給を受けている部分と、当座預金残高がマクロ的に増加するのを勘案して基礎残高に掛け目を掛けて算出する額から成る。マイナス金利適用の対象となる政策金利残高はこれら基礎残高とマクロ加算残高を超えた部分だ。

  野村証券の松沢中チーフストラテジストは、「今後詳細がはっきりする段階で 日銀が購入する80兆円の国債のうち準備預金には向かわず、再び国債市場等へ還流する規模が見え、それが大きいようであれば、より長期の国債金利をゼロないしはマイナスへと近づける可能性がある」と指摘。ただ、「詳細が見えてくるまでは10年金利のターゲットを確定しづらい」とし、「0.10%付近ではないかとみている」と言う。

日銀買い入れオペに注目

  日銀は前週末、長期国債買い入れオペの当面の運営方針を発表した。2月の最初のオペの買い入れ額は全ての年限で1月から変更なし。BNPパリバ証券の藤木智久チーフ債券ストラテジストは、1日に予想される日銀買い入れオペが注目と指摘。「超長期ゾーンは金利があるが、手前はマイナス金利が深く、応札するインセンティブがあるのかどうか。結果次第でボラティリティが上昇する可能性がある」と話した。

  財務省は2日午前、10年利付国債の価格競争入札を実施する。現在の水準で入札を迎えると、前回の341回債のリオープン発行となり、表面利率(クーポン)は0.3%に据え置かれる見込み。0.1%を大きく下回ると、クーポン引き下げの可能性が出てくる。発行予定額は前回債と同額の2兆4000億円程度となる。

  4日には流動性供給入札が予定されている。投資家需要の強い既発国債を追加発行する入札で、今回の対象銘柄は残存期間15.5年超から39年未満。発行予定額は3000億円程度となる。

予想レンジと相場見通し

  市場参加者の今週の先物中心限月、新発10年物国債利回りの予想レンジと債券相場見通しは以下の通り。

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◎パインブリッジ・インベストメンツ債券運用部の松川忠部長
先物3月物=150円10銭-150円75銭
新発10年物国債利回り=0.07-0.15%
  「日銀のマイナス金利導入で利回りのアンカーが外れた。独国債の残存7年に対して、日本国債は残存8年までマイナス金利が迫っている。スイス中銀のようにマイナス金利政策は無限の世界。投資家は運用しづらく、証券会社が国債を買って日銀にすぐ売る取引が増加しそう。ゼロ%になる可能性あるなら買い進める。問題は日銀の国債買い入れオペ。銀行が保有債券を売らなくなれば札割れリスク。当座預金にこれ以上お金を預けなくなる可能性がある」

◎JPモルガン・アセット・マネジメントの塚谷厳治債券運用部長
先物3月物=150円20銭-151円00銭
10年物国債利回り=0.06-0.14%
  「日銀と欧州中央銀行(ECB)の政策により、世界の景気を引っ張れるのかが焦点。原油価格が戻しており、金融市場環境が改善するのか見極めたい。スイスやデンマークのように、日銀もマイナス金利を導入したので、10年債利回りもマイナスになり得る。10年債入札については、良い結果になるか分からないが、悪い結果になることはない。無難な結果か。保有期間のリスクがあるだけで最終的には日銀に売れば良いだけの話だ」

◎大和証券の山本徹チーフストラテジスト
先物3月物=150円00銭-150円80銭
新発10年物国債利回り=0.05-0.15%
  「マイナス金利のメリットは、量的緩和よりも資金シフトを促す効果が強いと考えられることだ。投資家は少しでも利回りが残っているものを探し、積極的にポートフォリオをシフトさせるだろう。マイナス金利を敬遠する資金が実体経済向けの貸し出しに向かうことも期待できる。その中でも、日銀は強引にネットで年間80兆円の国債買い入れを行なう。マイナス金利付き量的・質的金融緩和はイールドカーブを引き下げる力が極めて強い」
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