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電力10社の燃料費約2兆円減、5年ぶり低水準で増益-原油安の恩恵

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東京電力関西電力など電力10社の2015年4-12月期の燃料費は計3兆4722億円と、原油などの価格下落に加えて原子力発電所の再稼働もあり、前年同期比36%(1兆9586億円)減少した。10年4ー12月期以来、5年ぶりの低水準となった。各社が決算発表時に示した燃料費をもとにブルームバーグが試算した。

  最も燃料費の変化率が大きかったのは川内原子力発電所の原子炉2基を再稼働した九州電力で、燃料費は前年同期比45%減の2839億円。次いで東電が37%(7362億円)減の1兆2443億円、同じく関西電も同37%(3262億円)減の5515億円となった。

  燃料費の減少が奏功し、関西電と九州電力の今期(2016年3月期)の純損益が5年ぶりに黒字に転じる見通し。燃料費の減少だけでなく、燃料価格の下落とその影響を電気料金の単価に織り込む時期がずれることで生じるタイムラグ差益も大きく各社の収益を下支えした。業績予想を公表していない東電を除く9社が今期は黒字を確保する見通し。

減損の可能性

  東電の武谷典昭常務執行役は29日の決算発表会見で、4月の分社化により主に石油火力発電所で減損損失を計上する可能性があると述べた。グループ会社間での取引条件次第では、稼働率低迷で採算の見込めない設備の減損処理を迫られる可能性があるとし、同社は業績予想の発表を見送った。

  同社の4-12月期の営業利益は55%増の4631億円。4-12月期としては3年連続で営業黒字を確保した。燃料費7362億円の減少のほか、タイムラグ差益を2450億円計上したことが主因。一方で、売上高は販売電力量の減少や単価下落により、8.8%減の4兆4972億円に減少した。

  東電の大槻陸夫企画室長は、燃料価格の下落がタイムラグ差益をもたらしたものの市況が上昇に転じた場合には「赤字になってしまう」と指摘。「収益の振れ幅をなるべく小さくするためにも原子力の稼動は必要」と述べ、柏崎刈羽原発の再稼働の必要性を訴えた。

  同社の4-12月期の純利益は88%増の3383億円。原子力損害賠償費として5504億円の特別損失を計上した一方で、原子力損害賠償・廃炉等支援機構からの資金交付など5000億円の特別利益を計上した。

(電力10社の燃料費の合計を追加して記事を更新します.)
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