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高浜3号機が再稼働、約4年ぶり-関西電、今期5年ぶりの黒字へ

更新日時
  • 仮処分取り消しから1カ月で再稼働-小売りの全面自由化控え
  • 高浜3、4号機の再稼働で「来年度早い段階で値下げを検討」と関電

関西電力は29日に高浜原子力発電所3号機を起動した。原発事故後に導入された新たな安全基準下では、昨年再稼働した九州電力川内原発の2基に次ぐ3基目の運転再開で、同社は2013年9月以来続いていた原発ゼロの状態から脱した。

  関西電は同日に今期(2016年3月期)の業績予想も発表し、純利益が1500億円と5年ぶりに黒字化する見通しを示した。原発の再稼働による収支改善効果のほか、4-12月期の燃料費が前年同期比3262億円減少することや、燃料費の下落と燃料費調整制度に基づく料金の値下げの時期のタイムラグがもたらす差益が通期で1370億円あることなどが影響する。前期(15年3月期)は1484億円の赤字だった。

  関西電の発表文書によると午後5時に3号機(出力は87万キロワット)を起動。同機は12年2月から停止していた。30日午前6時ごろには連続的な核反応が起こる臨界の状態になり、2月1日午後2時ごろに発電と送電を再開する予定。同4号機は1月31日以降の燃料装荷を計画している。

  再稼働を受けて、同社の八木誠社長は「自らが先頭に立ち、安全の取り組みに終わりはないということを肝に銘じ、規制の枠組みにとどまることなく、自主的かつ継続的な安全性向上対策を推進する」とのコメントを発表した。

  高浜原発の再稼働をめぐっては、安全性を疑問視する周辺住民と対立し、判断は一時司法の判断にゆだねられていた。福井地方裁判所は15年4月に住民側の主張を認めて再稼働を差し止める仮処分の決定を下したものの、関西電の異議申し立てを受けて審理をし直し、同年12月には「原発の安全性に欠ける点があるとは言えない」と最初の決定を取り消した。

係争中も準備

  関西電は係争中も再稼働に向けて安全審査などを進めてきた。同年12月に立地自治体である高浜町と福井県から再稼働に対する同意を取り付け、福井地裁から仮処分を取り消す通知を受けた翌日に高浜3号機に核燃料を装荷。ここまで原発の再稼働を急ぐのは、同社の全電源に占める原発の割合が44%(10年度末)と、電力10社の中で最も高かったことが背景にある。

  原発の不足分を補うために同社が14年度に購入した液化天然ガス(LNG)は、10年度比で1.8倍の944万トン。原油の調達量は同4倍の416万キロリットルに急拡大した。代替の燃料費が収益を圧迫し、15年3月期まで4期連続で純損失を計上していた。13年と15年に2度の電力料金値上げで収支改善を図ったが、省エネやすでに自由化されている分野で電力会社の切り替えが進展し、同社の販売電力量は減少に転じている。

  電気事業連合会がまとめた15年の電力10社の販売電力量は2.7%減の8060億キロワット時と3年連続で前年の実績を下回り、1998年以来の低水準となった。

全面自由化の号砲

  さらに今年4月には一般家庭など規制が残っていた分野に対する電力小売り事業が全面自由化され、新規参入する電力会社との間で顧客獲得競争が始まる。関西電の地域でも大阪ガスやソフトバンク、KDDIなどが関西電に対抗する家庭向けの料金プランを打ち出しており、販売電力量の減少に歯止めをかけるためにも料金が今まで以上に重要な要素となる。

  アジアエネルギー研究所の広瀬和貞代表は、これまで規制によって守られていた各地域の電力会社は、自由化によって「顧客を取られる一方なので小売りの売り上げがマイナスになる」と指摘する。特に新規参入する電力会社は、電気使用量が多く1キロワット時当たりの単価の高い顧客層に照準を合わせており、「良いお客さんこそ新しい電力会社に取られてしまう」と話した。

  関西電力お客さま本部料金企画グループの山本高史マネジャーは今月15日の自由化後の料金発表会見で、「計画通り高浜原発3、4号機が稼働した場合は、来年度のできるだけ早い段階で新料金メニューも含め、電気料金値下げの具体的な検討を進めている」との方針を明らかにした。さらに「大飯3、4号機が本格運転したらさらなる値下げも検討する」と述べた。

  26日付の日本経済新聞は、関西電は家庭向けの電気料金で平均5%前後値下げする内容の電気料金改定を4月に国に届け出ると報じている。

(高浜3号機の再稼働を受けて記事を更新します.)
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