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日銀会合注目点:年内緩和の観測高まる中で今年初-終了時間で思惑も

  • 追加緩和なら「市場は黒田総裁が『有言実行』と受け止め」と小玉氏
  • 国債をいくらでも買えるという黒田総裁の姿勢は「強がり」と早川氏

日本銀行は29日の金融政策決定会合で政策運営方針を決定する。原油価格の下落に加え、年初からの国際金融市場の混乱や、盛り上がりに欠ける春闘の賃金交渉により、物価目標の2%達成時期が遅れるリスクが高まっている。こうした市場・経済の変動を受けて年内の緩和観測が高まる中で黒田東彦総裁率いる日銀は今年初めての会合を開く。

  ブルームバーグが22日-27日に行った調査によると、エコノミスト42人のうち、1月会合で追加緩和を予想したのは6人(14%)だった。緩和予想は少数派にとどまったが、エコノミストの多くは追加緩和の可能性を排除していない。BNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミストはその可能性を45%、シティグループ証券の村嶋帰一チーフエコノミストは30~40%、JPモルガン証券の菅野雅明チーフエコノミストは35%とみている。

  複数の関係者への取材によると、物価2%目標の早期達成に不可欠な賃金引き上げが今春闘で期待外れに終わる公算が大きくなる中、日銀は2%早期実現に向けて追加緩和が必要かどうか、直前まで市場動向などを見極めつつ、ぎりぎりの判断を行う見込みだ。

主な注目点

*会合後の市場の反応

  2013年4月の量的・質的金融緩和、14年10月の追加緩和はいずれも大幅な円安・株高につながった。年初来のグローバル市場の混乱で、ドル円相場は20日一時1ドル=115円98銭と昨年1月16日以来の水準まで円高が進行。翌21日の東京株式市場はTOPIX、日経平均株価とも追加緩和を行った14年10月末の水準を下回った。その後は追加緩和期待もあって戻している。

  追加緩和の可能性は80%とみる明治安田生命保険の小玉祐一チーフエコノミストは「緩和を見送った場合、円相場が115円を突破するのは必至。株価も再度1万6000円を目指す展開となる」とみる。一方で、追加緩和に踏み切れば、「市場は一時的にせよ、黒田総裁は『有言実行の人物』と受け止めるとみられ、したがって大幅な株高、円安の進行が考えられる」という。

  同じく追加緩和を予想する三菱UFJモルガン・スタンレー証券景気循環研究所の嶋中雄二所長は「現在の日経平均株価、ドル円相場、原油価格の状況は、14年10月の追加緩和実施の約2週間前までの混乱状況と動きが極めて類似しており、一発逆転の威力を秘めた『黒田バズーカⅢ』の必然性は否応なく増している」と指摘。追加緩和を見送れば、「円高・株安の流れを食い止めることは一層困難となろう」という。

  一方で、量的・質的金融緩和の限界説も根強く、仮に追加緩和が行われても、緩和手段の打ち止め感から逆に市場から失望されるとの見方も出ている。パリバ証券の河野氏は「国債購入はあと20兆円程度が限度だろう。資産購入増額だけで対応すれば、むしろ緩和の打ち止め感が広がり、円高阻止に成果が上がらない可能性もある」という。

  先週末スイス・ダボスでインタビューに応じた黒田総裁は「日銀は国債の発行総額の3分の1を保有しているが、まだ3分の2が市場に残っている」と述べ、国債買い入れ限界説を一蹴した。元日本銀行理事で富士通総研エグゼクティブ・フェローの早川英男氏は26日のインタビューで「強がりだ」と指摘。市場は「『何もしなければ売り、何かしても売り』という反応で待ち構えているのではないか」という。

*2%物価目標の達成時期

  日銀は今会合で経済・物価情勢の展望(展望リポート)で生鮮食品を除くコア消費者物価(CPI)前年比の見通しを示す。2%達成時期は昨年4月に「2015年度を中心とする期間」から「16年度前半」に変更。昨年10月には「16年度後半」に先送りされた。原油価格の下落などで物価見通しの再三の下方修正は必至の情勢で、さらに後ずれとなれば、この1年に限っても3回目となる。

  ブルームバーグ調査では、「16年度後半ごろ」に2%物価目標が達成されるとみるエコノミストは40人中皆無だった。早川氏はインタビューで、日銀が物価2%達成時期をさらに先送りすれば、黒田総裁の任期中に量的・質的金融緩和の出口はないという現実を認めることになり、日銀にとって「事実上それは敗北宣言だ」と述べた。

*ドラギスタイルを踏襲か

  ブルームバーグ調査によると、たとえ今回追加緩和を見送ったとしても、遅かれ早かれ踏み切らざるを得ないとの見方が根強い。ブルームバーグ調査では、3月会合の緩和予想が1月より多い7人(17%)、4月会合は最多の14人(33%)だった。追加緩和なしは13人(31%)で、昨年12月9-16日の前回調査の20人(48%)から大きく減少している。

  追加緩和を見送った場合、黒田総裁は市場の失望を防ぐため、近い将来の追加緩和を予告するドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁の手法を取る、とみる向きもある。JPモルガン証券の菅野チーフエコノミストは「今週日銀が緩和を見送った場合でも、日銀が追加緩和を近々実施することを示唆すれば、市場への影響は最小とすることが可能」とみる。

*決定会合の終了時間

  日銀が決定会合をこれまでの年12回から8回に減らしたのに伴い、年2回の公表だった展望リポートを4回に増やした。今会合は金融政策運営の決定と展望リポートが同時刻に発表される初の会合となる。これまで展望リポートを策定するのは4、10月の2回目の決定会合だったが、今回は経済、物価の情勢判断と政策運営、展望リポートの策定を一度に行うため、終了時間が後ずれする可能性もある。

  ブルームバーグが昨年10月に調べたところ、2010年以降2日間の日程による決定会合は66回開かれ、会合結果は平均で午後0時22分に発表されている。そのうち政策変更が行われた13会合の結果発表は平均して午後0時59分だった。

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