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膨らむプライマリーディーラーの追加応札、国債爆買いの日銀にも恩恵

更新日時
  • 実質的な追加発行は投資家にとって助かる話-みずほ証
  • 10年債は第2非価格競争入札で今年度すでに2.85兆円も発行

国債大量発行の安定消化を担うプライマリーディーラー(国債市場特別参加者)の追加応札額が過去最高に達している。日本銀行による異次元緩和で国債市場での需給逼迫(ひっぱく)が深刻化する中、市場関係者からは国債増発を歓迎する声が出ている。

  財務省が指名した22の証券会社と銀行で構成するプライマリーディーラーは、国債の競争入札ごとに発行予定額の4%以上を応札するなどの義務を負う半面、その後に追加購入をしたい場合、入札結果と同じ条件で、各社の落札実績額の原則15%まで購入できる。この「第2非価格競争入札」で落札された10年物国債の額は、1月までの10カ月間で2兆8524億円と、年度ベースの比較で過去最高に達している。
  
  国債等の発行残高に占める日銀の保有割合は、異次元緩和の導入直前は13.2%だったが、昨年9月末は30.3%に上昇。国債の相場変動率は今月、一時1.156%と2014年10月末の追加緩和以来の低水準を付けた。市場で日銀の巨額購入がいずれ限界に達するとの懸念がくすぶる中、新発10年物国債利回りは0.19%と過去最低を更新している。

  みずほ証券の丹治倫敦シニア債券ストラテジストは、日銀の買い入れと政府による発行減で国債需給が逼迫する中で、「低金利でもALM(資産と負債の総合管理)の観点から円債を買わないといけない投資家もいるので、実質的な追加発行は助かる」と指摘。「金融機関とのオペで札割れが起きにくくなるという意味で、日銀にも恩恵がある。政府には歴史的な低金利下でより多くの国債を安定的に発行できる利点がある」と述べた。

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  10年物国債に関しては、第2非価格競争入札を通じた落札額が、すでに14年度通期の実績を56.2%上回っている。非価格競争入札のための15年度の発行予定額は当初計画では4兆3800億円だったが、今月20日に成立した補正予算では7兆9070億円に上方修正された。安倍晋三内閣が今通常国会に22日提出した16年度予算案では5兆6200億円を計上している。

  プライマリーディーラー制度は国債の安定的な消化と市場流動正の維持・向上を目的に、財務省が04年10月に導入。応札額が発行予定額を下回る「札割れ」が02年に10年債入札で初めて生じたことも一因だ。15年度の第2非価格競争入札は現在までのところ、対象となる全年限の利付国債と物価連動債の合計が7兆4086億円。13年度通年の8兆円強を上回って過去最高となる勢いだ。

  国の16年度予算案が過去最大となり、税収が25年ぶりの高水準となる見込みの中、新規財源債は08年度当初以来の水準に抑制されている。15年度当初の国債発行予定額との比較では、借換債も7兆円超減るため、発行総額は162兆2028億円と8兆円近く少ない。日銀乗り換えが23.1%減り、機関投資家に競争入札で販売する市中発行額が147兆円に減少することが背景だ。しかし、第2非価格競争入札額だけは1兆2400億円増える。

  財務省は15年度の当初予算まで、第2非価格競争入札での発行予定額を、対象となる国債の入札による市中発行額の3.75%としてきたが、補正予算で5%へ引き上げた。16年度予算案でも5%分を計上している。メリルリンチ日本証券の大崎秀一チーフ金利ストラテジストは、財務省は黒田東彦総裁が進める巨額購入でプライマリーディーラーの「第2非価格競争入札への応札が増えると見越している」と言う。

  大崎氏は、16年度の国債発行額は償還分を差し引くと22兆円程度しか純増しないと分析。市場の需給逼迫を背景に、第2非価格競争入札を通じた事実上の追加発行額が増えれば、今度は国債を巡る「需給がやや緩み、結果的に日銀がオペを継続しやすくなる面もある」と読む。

  日銀は2%の物価目標を達成するため、マネタリーベースを積み増す「量的・質的金融緩和」を13年4月に導入。14年10月末の追加緩和では国債保有増を年80兆円と、政府が16年度に発行する新規財源債の2倍超となっている。16年の買い入れ額は約120兆円と16年度の入札による市中発行額の8割超に及ぶ見通しだ。

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