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トヨタが基盤強化へ攻勢、ダイハツ完全子会社化-VWがつまずく中で

更新日時
  • トヨタ、ダイハツとも「完全子会社化も含め検討」とコメント
  • 余資潤沢のトヨタの日野自への対応が今後の注目との指摘も

ライバルの独フォルクスワーゲン(VW)が排ガス規制逃れ不正問題でつまずく中、トヨタ自動車は新興国や国内のグループ経営基盤の強化に向けて攻勢に出ようとしている。

  トヨタは約51%株を保有するダイハツ工業を完全子会社化する意向だと、方針を知る立場にある関係者が未公表情報を理由に匿名で明らかにした。小型の自動車開発・生産を得意とするダイハツは、トヨタへ軽自動車や小型車のOEM(相手先ブランドによる生産)供給などで協力関係を強めていた。

  業績好調で現預金など余剰資金潤沢のトヨタは昨年のグループ世界販売で唯一、1000万台超となり、4年連続で首位を維持した。ダイハツ完全子会社化の可能性が浮上したことで、識者からは今後、同様に50%超を保有する日野自動車へのトヨタの対応が注目されるだろうとの指摘も出ている。

トヨタ余裕資金

  ダイハツについては、アドバンストリサーチジャパンの遠藤功治アナリストが、中国事業も見直し、インドネシアでも市場が低調で期待通りの成果が出せていないと指摘。国内では「スズキとの激しい軽市場争いで利益を十分に出せておらず、てこ入れが必要な時期に来ていた」と話した。その上で、完全子会社化で固定費が下がるということは考えにくいが、少なくとも新興市場への参入など、より戦略的に事業を進めることが可能になるとコメントした。

  トヨタがスズキと提携交渉に入り、ダイハツを完全子会社化する方針と27日付の日本経済新聞が先に報じ、インドなど成長が見込める新興国市場の開拓加速を目指しいているとした。トヨタ、ダイハツはいずれも報道について、「完全子会社化も含め検討している」とのコメントを発表。その上で、「現時点で決定した事実はありません」とした。

  ダイハツ株は27日、報道の真偽など確認のため東京証券取引所で一時、売買停止となった。取引再開後には一時、値幅制限いっぱいのストップ高となる前日比20%高の1781円を付けた。ダイハツの直近の時価総額は約7400億円。トヨタが残りの株式をすべて取得するには3600億円規模の資金が必要な計算になる。

  今後も成長が見込まれる新興国市場では、需要の高い低価格の小型車で競争が激化している。ダイハツの三井正則社長は就任直後の2013年7月のインタビューで、新興国でより低価格の車投入に意欲を示す一方、単独での販売網整備に時間がかかるため、インドネシアのようにトヨタと連携してダイハツが開発・生産するスタイルで進めていくことになるだろうと話していた。

  サスケハナ・インターナショナル・グループのアナリスト、マット・ストーバー氏はある程度の独立性が保たれた子会社と完全子会社では戦略上の自由度に違いがあるとした上で、トヨタがダイハツの全株式を取得することは「自然な成り行きで、長期的な事業の発展につながる」とした。

  三菱UFJモルガン・スタンレー証券シニアアナリストの杉本浩一氏はダイハツ完全子会社化について、実現するとすれば親子上場の解消が目的と思われると指摘。その上で、同様に50%超を保有する日野自動車へのトヨタの対応に今後、注目が集まるだろうとコメントした。

  トヨタは27日、昨年のダイハツ、日野を含むグループ世界販売が前年比0.8%減の1015万1000台になったと発表。VWの同2.0%減の993万台、米ゼネラルモーターズ(GM)の同0.2%増の984万台を上回った。

  自動車調査会社フォーインのアナリスト、周錦程氏は、世界販売でトヨタの首位がしばらく揺るがないとみている。排ガス規制逃れの不正問題への対応に追われるVWは戦略立て直しに手間取るとみられ、両社の差は拡大すると予想している。販売が減速する中国市場でトヨタはVWやGMほど存在感が大きくないことが幸いしているほか、堅調な米国市場では追い風を受けており、トヨタの首位継続に不安材料が当面見当たらないとコメントした。

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