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緩和予想は少数派、打つ手少なく効果も期待薄で日銀静観か-サーベイ

  • エコノミスト41人のうち1月会合での追加緩和予想は6人(15%)
  • 仮に追加緩和する場合は国債買い増し最低100兆円必要との見方有力

ブルームバーグ調査によると、日本銀行が28、29の両日開く金融政策決定会合で、追加緩和に踏み切るとの予想は少数派にとどまった。日銀が打てる手が少なくなっているとの見方が根強い中、残り少ないカードを使っても大きな効果は望めないという認識が背景にある。

  ブルームバーグが22日-27日に行った調査によると、エコノミスト42人のうち、1月会合で追加緩和を予想したのは6人(14%)だった。3月会合はそれより多い7人(17%)、4月会合が最多の14人(33%)で、7月が2人(5%)、追加緩和なしが13人(31%)だった。昨年12月9-16日の前回調査では1月緩和予想は7人(17%)だった。

  複数の関係者への取材によると、物価2%目標の早期達成に不可欠な賃金引き上げが今春闘で期待外れに終わる公算が大きくなる中、日銀は2%早期実現に向けて追加緩和が必要かどうか、直前まで市場動向などを見極めつつ、ぎりぎりの判断を行う見込みだ。

  大和総研の熊谷亮丸チーフエコノミストは「1月緩和の可能性も徐々に高まっている」としながらも、メインシナリオは「4月緩和」を維持する。その上で、「仮に日銀が追加緩和を行うのであれば、最低でも100兆円程度へとマネタリーベースの拡大幅を引き上げなければ、市場の期待を裏切ることになる」という。

効果は限定的

  今会合での据え置き予想が大半を占めた理由の1つに、残り少ないカードを使っても効果は望めないという見方がある。「追加緩和に踏み切る可能性は50%未満」とみるみずほ銀行の唐鎌大輔チーフマーケットエコノミストは「中国経済失速という大きなテーマの前で日銀の追加緩和がゲームチェンジャーになることは難しく、円高是正も一時的なものにとどまるだろう」という。

  さらに、「効果が限定的と分かっていながら、貴重なカードを切るのは賢明ではない。それでも緩和する場合、量的・質的緩和の枠組みならば最低20兆円規模の拡大が市場の頭の中にはありそうだが、それとて大幅サプライズにはならないだろう」と指摘。「欧州中央銀行(ECB)の経験を踏まえ、付利のマイナス化などが検討されなければ市場期待は超えられない」という。

  富国生命保険の森実潤也チーフエコノミストも「グローバル市場の混乱は外的要因(米利上げ、中国経済の先行き懸念、原油安等)であり、追加緩和を実施しても効果は乏しいとみられ、可能性は低いだろう」という。また、「昨年12月に補完措置を導入したとはいえ国債購入の継続性の問題は残り、量的規模の拡大余地を考えるとあと1回がいいところで、そのカードを現時点で切ることはないだろう」とみる。

  大和証券の野口麻衣子シニアエコノミストは「何も手を打たなければ、目標達成に向けた意気込みを疑われる恐れがあると判断し、追加緩和に動く可能性は徐々に高まってきている」としながらも、追加緩和を行っても「相場に相当規模の持続的なインパクトを与えるのは至難の業だ」と指摘。春闘に対しても「直接的な影響を及ぼせるわけではないことからも、現状維持を決断する可能性の方が高い」という。

最低でも100兆円

  市場の追加緩和期待が高まりつつある中で、日銀が様子見を続けた場合の反動も懸念される。しかし、野口氏は「市場は失望するだろうが、日銀が必要なときには(今ではないが)断固たる行動をとる、との姿勢を強く打ち出すことで、市場の混乱をある程度抑えることができるのではないか」とみる。

  一方、第一生命経済研究所の熊野英生首席エコノミストは、外為市場や株式市場に「失望されないためには1月に緩和をすることが不可避に思える」という。緩和手段としては、長期国債の保有額の年間増加幅で「100兆円の買い入れを行って、日銀は限界までやっているという印象を打ち出す」とみる。

  三菱UFJモルガン・スタンレー証券景気循環研究所の嶋中雄二所長も「現在の日経平均株価、ドル円相場、原油価格の状況は、2014年10月末の追加緩和実施の約2週間前までの混乱状況と動きが極めて類似しており、一発逆転の威力を秘めた『黒田バズーカⅢ』の必然性は否応なく増している」と指摘。

  追加緩和に踏み切る場合は、現状の市場の期待から見れば「マネタリーベースは年間80兆円から100兆円への増額が望ましい」とする一方で、追加緩和を見送った場合、「円高・株安の流れを食い止めることは一層困難となろう」という。日銀が仮に追加緩和に踏み切るのであれば、長期国債の買い増し額は最低100兆円必要との見方が多い。

臨時会合も

  バークレイズ証券の森田京平チーフエコノミストは「今、日銀に問われているのは『薬の量』(マネタリーベースの増加ペース)の調整ではなく、『処方箋の有効性』(なぜマネタリーベースを操作目標とするのか)についての説明責任だ」と指摘、「この説明責任が明確に果たされなければ、どんなに現行の処方箋に基づいて薬を増やしても、その効果は持続性を欠くだろう」という。
 
  今回からサーベイに加わった日銀出身の岡三証券の愛宕伸康チーフエコノミストは「市場が落ち着きを取り戻しつつあるので、1月は現状維持を予想する。市場がクラッシュしない限り追加緩和はないだろう。ただし、クラッシュした場合は臨時会合を視野に入れておきたい」としている。

  日銀ウオッチャーを対象にしたアンケート調査の項目は、1)今会合の金融政策予想、2)追加緩和時期と手段、3)コメント-。過去の日銀サーベイはNI SURVJPCENをご覧ください。

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