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竹中平蔵氏:追加緩和いまは不要ー参院選前の補正とセットが理想的

  • 政府は夏の選挙前に補正予算編成、日銀はそれに合わせて追加緩和を
  • 10%への消費増税は延期すべきだ、衆参同日選の大義名分に

産業競争力会議の民間議員を務める竹中平蔵慶応大学教授(元経済財政担当相)は、28、29両日に開かれる日銀金融政策決定会合で、追加緩和を「やる必要はない」と述べ、参院選前に2016年度の補正予算とセットのタイミングで行うのが理想的だとの考えを明らかにした。25日、ブルームバーグのインタビューで語った。

  竹中氏は、月末の金融政策決定会合で日銀は追加緩和を打つべきかとの問いに、「今週がベストのタイミングとはちょっと思えない」と話した。背景として、2016年度予算案の審議が控える中で国会の動きが見通せない状況であることや、欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁が追加緩和を示唆したことによりマーケットに落ち着きが戻っていることを挙げた。

  将来的な追加緩和については「日銀としてはボールは政府側にあるという認識」と分析し、「政府が思い切った政策をとって、それに呼応する形で日銀もするというのが、日銀としては理想的な形だ」と話した。

  小泉純一郎政権で経済財政相などを務めた竹中氏は、経済政策の司令塔として郵政民営化や規制改革などを進めた。第2次安倍政権発足後は産業競争力会議、国家戦略特区諮問会議の民間議員として政策立案に関わっている。日本銀行の黒田東彦総裁は22日、ブルームバーグのインタビューで、「もし必要になれば、特に、物価の基調が大きな影響を受けるようであれば、量的・質的金融緩和をさらに拡大する余地がある」と述べている。

  竹中氏は、20日に成立した3.3兆円の15年度補正予算を「非常に小さい」と評し、「私は5兆円か6兆円の補正を期待していた。それをあえて小さくしているということは、次にやるのではないか」と予想。中国、世界経済の動向次第では、政府は夏の参院選の前に新たに16年度の補正予算を編成する可能性があるとし、日銀もそれに合わせて追加緩和に踏み切るべきとの考えを示した。

  日銀が16年度後半ごろの達成を目指している2%の物価安定目標については、「世界的に自然利子率が非常に低い中で2%を達成するのは非常に難しい」と予測。一方で、「私はそれでもかまわないと思う。1.5になっても全然問題ない。2%目標で、その前後1%の範囲内に入っているのは物価目標成功というべきだ」と述べた。

  さらに竹中氏は「日銀法は改正した方がいい」と指摘。「ガバナンスのシステムはまだ改良の余地がある」と話し、政府に日銀総裁らの「解任権があってもいい」と述べた。

消費増税

  竹中氏は、2017年4月に予定されている10%への消費増税を「延期すべき」だと明言。その上で、「再増税を延期するための正当化の理由としては、世界経済が混乱するか、ないしは選挙でお墨付きを得るか。この2つしかない」と述べた。同時選挙により改憲勢力で衆参両院の3分の2を確保し、「憲法改正にまで結び付けたいという政治的な思惑と、方向としては一致する」とも語り、増税再延期を衆参同時選挙の大義名分にできるとの見方を示した。

  さらに、2段階で10%への増税を決めた民主党政権について「政策そのものが間違っている。残念ながら当時の野党だった自民党政権がそれに賛成してしまっている」と批判。本来は、「当面の目標を増税に置くのではなく、歳出の抑制などに置くべきだ」と話した。

株価

  日経平均株価は、年明けから下落し、21日には終値で1万6017円26銭まで下がった。25日の終値は1万7110円91銭。竹中氏はこうした動きを「この3週間で予想外の動きが起こったことに対して、マーケットには落ち着くような動きが広まった」とみる。

  特に、中国経済の減速をめぐるマーケットの反応を「オーバーリアクト(過剰反応)」と表現。中国は「金融政策も経済政策もいざとなれば導入できるし、為替レートは政治が決定できるから、そういう意味ではコントロールする術を短期的には持っている」と説明。その上で中国経済について、「中長期的には私たちの予想より成長率を下げていく。そっちの方が問題だ」と危惧した。

為替

  世界経済の減速を受けて、年明け以降は安全資産とされる円が買われる展開となり、ドル・円相場は20日に一時、1ドル=115円台を付けたが、26日午前8時現在は118円台で推移している。

  竹中氏は、「日本のコアの輸出企業は115円くらいではびくともしない設定になっている」と指摘。海外で得た利益を円に反映する際には企業収益が影響を受けると説明したうえで、「すぐに実体経済に影響が出てくるということではない」と話した。

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