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再生ファンドの出番拡大も、安倍政権が中小企業の金融支援を見直し

更新日時
  • 倒産件数は昨年まで7年連続減も、信用保証見直しなどで増加も
  • トパーズやキーストーン:ファンドが呼ばれるケース増加との見方

リーマンショックを受けた企業倒産件数は、国や銀行の支援で翌年から減少し続けていたが、安倍政権は経営改善に向け自立を促すため、信用保証制度など支援の見直しに動く。銀行は経営不振企業への融資峻別を迫られることから、企業再生ファンドは投資機会が増えるとみている。

  東京商工リサーチによると倒産件数は2009年以降、昨年まで7年連続で減少。背景には、08年の金融危機に伴う緊急措置として返済猶予などで負担を軽減する中小企業金融円滑化法が09年に施行されたことや、信用保証制度がある。同法が13年3月に失効した後も銀行が原則3年の暫定リスケ(返済条件変更)に応じてきたが、3月に返済期限を迎える企業が出てくる。さらに安倍政権は信用保証制度の見直しを打ち出している。

  融資ファンドのトパーズ・キャピタル代表取締役パートナーの新村健氏は、支援縮小の影響はあるとみる。銀行から「再生の道筋をつけるか、単独で無理ならどこかとくっつける、エクイティ性の資金をストラテジックパートナーから入れるといった具体的な経営改善策を求められる」と述べ、再生ファンドの出番が増すとの見方を示した。同社の投資先も「一昨年の5件は普通の運転資金だったが、昨年は全8件のうち再生関係がほとんどを占めた」と言う。

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再生ファンド

  再生ファンド、キーストーン・パートナーズ代表取締役の堤智章氏は、投資対象となる銀行の要注意先債権は「約20兆円から30兆円残っている」と指摘。公的支援の縮小に伴い「銀行が債務免除など私的整理を多く行うと銀行の自己資本が傷んだり、損益が悪くなる」として、不振企業の再建を目的に「ファンドが呼ばれるケースは増えている」と話した。

  トパーズは、国内銀行平均の6.5倍以上となる6~8%の金利で不動産や動産を担保にしたローンを提供。キーストーンは約10%の金利で融資する。再生ファンドは、銀行が融資できないようなリスクの高い経営難の中小企業を中心に貸し出すため、金利は高い。

  とりわけ再生企業では、ファンドの出番が出てくる。銀行による債権放棄や法的整理などで債務削減を図ったとしても、「銀行からするとその直後はリスクをとりづらい」とトパーズの福田拓実ディレクターは話す。ADR(裁判外紛争解決手続)をした地方の小売企業の場合、銀行は追加融資に応じなかったが、キャッシュフローは黒字で担保もあったため、昨年6月に同社が運転資金を提供。経営は順調に推移し、既に地元の金融機関による融資も受けているという。

倒産増加も

  商工リサーチによると、25年ぶりの低水準まで減った昨年の倒産件数を単月ベースで見ると、12月は9カ月ぶりに増加に転じた。帝国データバンクの集計でも、昨年10-12月期の倒産件数は2年半ぶりに四半期ベースで前年を上回った。

  暫定リスケ終了に加えて、信用保証協会による支援の見直も予定されており、商工リサーチは、13日のリポートで「抜本的な経営改善が進まない企業は存続の岐路に立たされている」と指摘。同社情報本部の関雅史課長は、銀行は「支援を続ける企業、見切りをつけ支援を弱める企業に分けていく」と予想しており、「倒産件数は昨年を底として今年は増える可能性が高い」とみている。

  政府は信用保証協会を通じて一律で融資の8割を保証し、中小企業の資金繰りを支援。経済産業省の資料によると、14年度には中小企業向け貸付残高243.6兆円のうち11.4%で保証していた。

  しかし、昨年の国会の付帯決議は企業再建の促進や財政負担の軽減の観点から制度を見直すよう求めており、安倍政権は日本再興戦略で、「金融機関が経営改善や生産性向上等の支援に一層積極的に取り組むよう促す」として、信用保証制度の在り方を検討すると明記している。

  みずほ証券の西原里江アナリストは、全体で見ると「ここにきて中小企業が厳しいモメンタムに入ったという状況はない」と指摘。憲法改正に向け衆参両院で3分の2以上の議席獲得を目指す安倍政権にとって「参議院選挙では地域の票が大事。政策的に、中小にはプロテクティブな素地にある」として、大きな悪化は考えにくいと語った。

(第11段落を追加し、更新しました.)
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