コンテンツにスキップする

【インサイト】ドイツ銀CEOを待ち受ける「死のスパイラル」の罠

  • 市場混乱という逆風下でも、米銀は収入減少に見舞われていない
  • 長く苦しい道のり恐れて人材流出に歯止めがかからなくなる恐れ

ドイツ銀行の暫定決算では訴訟とリストラに絡む費用が注目されたが、重要なのは実は収入の方だ。

  ドイツ銀は法的費用の引当金として、昨年10-12月(第4四半期)に12億ユーロ(約1530億円)を積み増したと明らかにした。大方のアナリスト予想を大幅に上回る金額だったが、積み増し自体は驚きではなかった。ドイツ銀は引き当て対象の詳細を明らかにしていないが、ロシアでの疑わしい取引や外為市場のレート操作疑惑など、未解決の問題が幾つもあり候補には事欠かない。

  それよりも投資家が心配すべきなのは収入の減少傾向だ。第4四半期の収入66億ユーロは、多くのアナリスト予想よりも約10%少ない。ドイツ銀は「厳しい市場環境」を指摘した。既に決算を発表した大手米銀も同様の点に触れたが、大半は総収入の減少を免れている。

  ドイツ銀のジョン・クライアン最高経営責任者(CEO)には、金融危機後にUBSを最高財務責任者(CFO)として救った実績があるが、当時は相場がおおむね回復方向にあった。今は、市場大混乱の中でドイツ銀を立て直していかなければならない。

  同行は目標とする自己資本比率12.5%以上を2018年までに達成できない恐れがある。比率は15年末には11%と、第3四半期末の11.5%から低下する見込みだ。この低下傾向を反転させるためにクライアンCEOが取れる手段はレバレッジを下げる、コストを減らす、ポストバンクなどの資産を売るなど幾つかあるが、収入が減り続ければCEOに求められる対応は一段と厳しくなる。
  
  67億ユーロの通期赤字に「厳しい現実」を痛感したクライアンCEOは、回復への長く苦しい道のりについて行員に現実的なメッセージを幾つも送った。事態を反転させるには現状がどれほどひどく、改善のためにどれほどの痛みを覚悟しなければならないかを行員が理解することが必要だからだ。しかし、これにはリスクが伴う。痛みに耐えられず退社する行員が出て、優秀な人材の流出に歯止めがからなくなるというリスクだ。

  人員削減が行き過ぎて残ってほしい人材まで失うことを、英銀バークレイズのアントニー・ジェンキンス前CEOは「死のスパイラル」と呼んで恐れた。クライアンCEOの行く手にも、同様の危険が待ち受けている。

原題:Deutsche Bank’s Cryan Needs to Dodge the Death Spiral: Gadfly(抜粋)

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE