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マンションは高根の花に、薄れる低金利効果-億ションも株安の逆風

更新日時
  • 昨年のマンション発売は2年連続減、億ションは前年比86%増
  • 低金利でも「物件価格が上がり一般向けは買えない」と米山氏

安倍政権下の異次元金融緩和で活況だったマンション販売は曲がり角を迎え、ピークアウトしたとの見方が浮上している。低金利効果は価格上昇に打ち消され、サラリーマン向け物件の販売が落ち込んだからだ。株高による資産効果で好調だった「億ション」販売も年初来の株安の逆風を受けている。

  不動産経済研究所によると、2015年の首都圏マンション発売戸数は前年比9.9%減の4万449戸と2年連続のマイナスとなり、09年以来の低水準だった。昨年12月の契約率は64.8%と売れ行きの好不調の目安となる7割を下回り、昨年で最低。販売在庫は6431戸に積み上がり、10年1月以来、5年ぶりの高水準だった。一方、1億円以上の億ションの発売戸数は1688戸と前年比86%増加した。

  安倍政権の下で住宅ローン金利は一段と低下しマンション販売は好調だったが、価格も上昇。同研究所調べでは15年の平均価格は前年比9.1%上昇の5518万円と3年連続アップした。また、日経平均株価は政権発足以降、昨年末までに86%上昇し、その資産効果が億ション購入の原動力となった。年明け以降は22日までに11%下落している。

  富士通総研の上席主任研究員・米山秀隆氏は、マンション市場の落ち込みの背景について「ローン金利は十分下がっているものの、賃金が物件価格の上昇に追い付かなかった」と分析する。「需要はピークアウトした」とし、「新たに住宅需要が出てくるには値下がりしないといけない」との見方を示した。

  長期金利が年明けに過去最低を更新する中、メガバンク3行は1月適用の住宅ローン(変動型)最優遇金利を過去最低に引き下げた。

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億ション変調

  不動産経済研の調べでは、昨年の最高額は三井不動産レジデンシャルが発売した「パークコート赤坂檜町ザ タワー」の15億円。企画調査部の松田忠司氏によると、新築の高額マンション価格としては92年の24億円台以来の高さ。東京建物の「ブリリアタワーズ目黒」は平均価格が1億1434万円で、1億円以上の365戸を含む661戸が昨年11月に完売した。

  しかし、高級マンションの賃貸や売買を手掛けるハウジング・ジャパンの橋本光央社長は、「億ションの市場はここにきて停滞気味になっている。年始から株価が下がり、富裕層は様子見ムードになっているようだ」と話す。新築のショールーム来場者数や契約者数は低調で、1月に入ってからは億ションは売れていないようだという。

  同氏は、「株価は下がっているものの、企業業績など全体の景気はそれほど悪くない」とし、富裕層は様子見していると分析。「株価が落ち着いてまた戻ってきたら、高額マンションはまた活性化される」と期待する。

年収倍率

  国税庁が毎年発表する日本の労働者の平均給与は最新の14年分で415万円と前年比0.3%増にとどまっており、10年前の439万円に比べると5.4%減少している。また15年の実質賃金伸び率は最大で3%のマイナス(6月)を記録し、直近の11月はマイナス0.4%。

  不動産情報の東京カンテイが毎年夏に発表している年収の何倍で新築マンションを買えるかを示す最新の年収倍率(14年)は、東京都で10.61倍。価格高騰を背景に90年代バブル期やミニバブル期以来の10倍超えとなった。

  15年の見通しについて、主席研究員の高橋雅之氏は「マンション価格が年収全体の伸びをはるかに超える上昇となり、高額物件の供給が多かったため、15年の年収倍率はさらに上昇する可能性がある」と述べた。

  リサーチ会社のジャパン・マクロ・アドバイザーズのチーフエコノミスト、大久保琢史氏は、アベノミクスの下での株・不動産価格上昇は消費や設備投資の喚起、すなわち資産効果を通じ経済に好影響を及ぼしたと指摘。この傾向が続けば住宅が庶民には手が届かなくなるという問題はあるかもしれないが、「基本的にこれがアベノミクスであり、富裕層により有利に作用する政策であることは否定できない」との見方を示した。

  みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミストは、「個人消費が弱り、輸出がちょっと陰っているので、住宅分野も弱いとなるとそれは日銀にとって無視できない逆風。日銀の強気の景気シナリオには逆風となる」と話している。

(第5、12段落を追加し、更新しました.)
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