コンテンツにスキップする

株の空売りリターンが驚異的-2008年の金融危機時を上回る

2015年は空売り投資家が過去最高の利益を上げた年だった。16年はこうした弱気派にさらに素晴らしい幕開けとなっている。世界の株式相場が過去最悪の滑り出しを見せているのだから、値下がりにかけてもうかるのは当然だろうが、驚くべきことがある。マークイットによれば、空売りの相対リターンが2008年の金融危機時を上回っているのだ。

  株価を当時左右した要因は住宅バブルと金融機関の破綻だった。現在は中国と原油、そして米国でのゼロ金利政策の終了だ。景気減速の根強い不安と商品相場急落が昨年末に向けてショート戦略に弾みをつけ、同年最後の数週間にピークに達したが、それが収まる兆しは見えないと、マークイットは先週のリポートで指摘した。

  マーケットフィールド・アセット・マネジメントのマイケル・シャウル最高経営責任者(CEO)は、「このサイクルの現状では、弱さを額面通りに受け取る必要がある。あるセクターが悪化し始めれば、そのセクターの改善を見込む理由はない」と付け加えた。

  マークイットによれば米国では、空売りのための株を借りるコストが最も高くつく上位10%の銘柄が昨年、市場のベンチマークを26%下回った。これは過去最大の下落率で、08年は19%だった。これらの銘柄は現在、このままいけば過去最悪の月間パフォーマンスを記録する。年初から2週間でベンチマークを6.7%下回っているからだ。空売り投資家にとっては最高の話だ。

  今回の局面で空売り投資家をさらに有利にしているのは、上昇銘柄と下落銘柄の格差が1990年代以降で最も大きくなっていることと、関連銘柄の空売りを当然のものとさせる商品値下がり、そして借り入れ過多の企業にいずれは跳ね返ってくるであろう超低金利時代が長く続いてきたことだ。マークイットによれば、空売りに選好される銘柄にはチェサピーク・エナジーやピーボディ・エナジー、シアーズ・ホールディングスが含まれる。

  幅広い銘柄が売られS&P 500種株価指数が38%下落した08年と比べると、昨年の米国株市場では銘柄間に激しい分断が見られた。 指数は年ベースで0.7%安にとどまったものの、下落が最も激しかった上位10銘柄は平均で64%下げ、値上がり上位10銘柄は同71%上昇したことをブルームバーグ集計のデータは示している。中でも株価が倍以上に上げたスター銘柄は アマゾン・ドット・コムとネットフリックスだった。

  今年はもう世界のあちこちが弱気相場入りし、S&P 500種は年初来下落率が10%に近い。

  既に昨年かなり値下がりした銘柄や業種のさらなる下落に賭ければ、この先のコストが高くつく可能性を指摘する声もあるが、空売り投資はこれ以上ないほどの環境に支えられているのかもしれない。米金融当局が長年続けた景気刺激策を解除していくのは、ロングであれショートであれ、どのような投資家にも影響すると指摘するのは、BGCパートナーズのマイケル・イングラム氏だ。

  市場ストラテジストの同氏は、量的緩和(QE)が実施されていた時期に弱気派として株式ファンドを運用すれば大きな問題を抱えたものだが、「今や、中銀が常に支えてくれるといった思考に基づく絶対的な勢いが消えたことをショート戦略のパフォーマンスが示している。ゲームのやり方は変わったのだ」と述べ、自身も昨年の早い時期から株には弱気だと明かした。

原題:Short Sellers Making an Even Bigger Killing Than You Think (2)(抜粋)

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE