コンテンツにスキップする

みずほFG:不透明な次期トップ選びと決別へ-大田取締役会議長

更新日時
  • 次期社長選任では「現社長の意思忖度しない」-指名委員会で大田氏
  • 佐藤社長の後任選びで試される新たなガバナンス体制-冨山氏

みずほフィナンシャルグループは日本の大企業に広がっていた不透明な次期トップ選びから決別する-。同社の取締役会議長を務める大田弘子氏(社外取締役)はそう確信している。

  政策研究大学院大の大田教授は、佐藤康博社長の後任選びについて「当然指名委員会が行う」と明言。「現社長の意思は忖度(そんたく)しない」とし、社内政治の駆け引きなどを排除した透明な手続きになると見通した。大田氏は前経済財政相で社長選任で決定権を持つ4人の指名委員会(全員が社外取締役)委員の一人。

  みずほは暴力団融資事件後の2014年に企業統治(コーポレートガバナンス)を強化するため、指名、報酬、監査からなる委員会等設置会社に移行。大田氏はその際、取締役会議長に抜擢された。安倍晋三政権は上場企業にガバナンス改革を通じて会社の運営管理や株主利益の追求にもっと力を注ぐよう促している。

  大田氏は6日のブルームバーグとのインタビューで、自らが務める社外取締役の最大の役割について、「問題や暴走があった時にトップに辞めなさいと言うことだ」と語った。みずほは社外取締役が取締役会の議長を努める数少ない日本企業の一つ。東証によれば同様の体制を取っているのは上場3474社中わずか17社にとどまる。

前任者やOBの影響力排除

  大田氏は「指名委員会で選ばれた社長の権力構造は強くなる」とし、前任者やOBの影響力の下で選ばれた分かりにくい権力を社外役員の立場から排除していきたい考えを示した。その上で、株主総会で株主から負託を受けた取締役会として透明性の高い社長指名を目指すと述べた。

  佐藤社長の退任時期は分かっていないが、大田氏によると後任選びの議論はすでに始まっている。次のトップにはどんな人が望ましいのか、幅広い適任者候補としてどんな人がいるのかなどについて、指名委員会メンバーの間で認識の共有を進めているという。

  安倍政権は15年6月に上場企業にコーポレートガバナンスコードを導入。2人以上の社外役員を選任した会社は94%となるなど改革は進んだ。しかし、委員会等設置会社だった東芝で歴代トップが利益水増しを誘発していた事実が明らかになり、社長選任プロセスを含め、ガバナンス改革の真の意味が問われている。

relates to みずほFG:不透明な次期トップ選びと決別へ-大田取締役会議長

  金融庁のコーポレートガバナンスに関する審議会のメンバーで経営共創基盤代表取締役CEOの冨山和彦氏はブルームバーグの取材に対し、日本では指名委員会に諮る前に社長や社長経験者らが後継を実質的に選ぶ例が多く、「こうした慣行を変えなければいけない」と述べた。

旧3行意識

  みずほでは02年に基幹システム統合で障害が発生、当時の前田晃伸社長は「旧3行間の確執が原因」と認めていた。11年の東日本大震災直後のシステム障害の後に就任した佐藤社長は「システム障害を大きな反省材料としてガバナンスを変えていきたい」と述べたが、みずほでは14年に反社会的勢力への融資が発覚。その後、佐藤社長は兼務だった銀行頭取を退いた。

  みずほは日本興業銀行、富士銀行、第一勧業銀行が統合して誕生した。冨山氏はみずほのガバナンスが改善されない原因は旧3行の派閥闘争にもあると指摘。最も重要な経営課題が「旧3行の調和や利害調整となり、企業価値の持続的向上はおおむねどうでもよく、村の外側にある社会規範にも鈍感となった」と分析する。

  大田氏はこうした旧3行意識について「社外役員にとっては何の関係もないこと。取締役会はそういうことを一切考慮せずに運営する」と断言。社外取締役の役割として、内部的な論理を検証する「社外の目」、成長戦略策定などでの「多様性」の提供、内部改革の背中を押すこと-の3つがあると説明した。

  いちよしアセットマネジメントの秋野充成執行役員は、社長選びを含めみずほのガバナンスが「本当に改善されれば、株価にはポジティブ」とみている。その上で「株主から付託を受けた取締役会が株主価値の最大化のために頑張るということなら、株価は上がる。みずほは改善余地がある分、上げやすいかもしれない」と述べた。

人事制度

  冨山氏はみずほのガバナンス改革の抜本策として「社内の空気に支配されない社外取締役が強い力を持つ取締役会に名実ともに権限を持たせ、人事権を集中させることが肝要だ」と指摘する。その上で「少なくとも形はまっとうになってきた。近い将来の最大のテストは、次のCEOを誰がどのように選ぶのかだ」と注目する。

  大田氏はみずほ従業員の人事・制度全般も「大きく変えるべきだ」と指摘した。「金融機関は優秀な人をたくさん取って減点主義で落としていく。これでは若い人はやる気がなくなる」と述べ、評価制度の抜本改革を取締役会で議論していることを明かした。「5年後には違うみずほになっているようにしたい」ー。

(第12段落に投資家の見方を追加します.)
    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE