コンテンツにスキップする

償還金の再投資続ける米金融当局-2016年には米国債25兆円相当が満期

  • 19年までの4年間では計1兆1000億ドル近くが満期に
  • 一部投資家は政策金利よりもバランスシート動向を注視

米金融当局が米国債の購入をストップしたとの印象を抱いているとしたら、それは早計だ。

  ただそれは、金融当局がバランスシートを拡大するわけではなく、現在の保有分の取り扱いを意味する。2016年には計約2160億ドル(約25兆4000億円)相当の米国債が満期を迎える。ニューヨーク(NY)連銀のダドリー総裁は15日の講演テキストで、金融当局として当面は償還金の再投資を続ける方針をあらためて表明した。

relates to 償還金の再投資続ける米金融当局-2016年には米国債25兆円相当が満期

  NY連銀のウェブサイトによれば、14年に満期となったのは4億7400万ドル、15年は35億ドルと小規模だったが、16年以降は一気に拡大する予定で、同総裁の発言は債券保有者やウォール街に安堵(あんど)感を与えることとなった。

  米金融当局は米国債の最大の保有者だ。09年に5000億ドル足らずだった保有規模は、金融危機後の景気てこ入れのための量的緩和(QE)プログラムの結果、総額2兆5000億ドル規模に膨らみ、一部の投資家にとっては、政策金利の今後の軌道よりも注視の対象となっている。17年に満期を迎えるのは1940億ドル、18年は3730億ドル、19年は3290億ドルと、16年からの4年間で計1兆1000億ドル近くに上る。

  債券強気派にとって、米金融当局が償還金の再投資を継続するとのシグナルは、利回りが16年に上昇するとのコンセンサス予想を疑問視する理由の一つだ。仮に金融当局が再投資をやめる決定を下せば、政府は今年の償還金相当分だけ借り入れを増やさねばならず、米国債利回りの上昇を招く可能性がある。

  セージ・アドバイザリー・サービシズの共同創業者、マーク・マックイーン氏は「米金融当局の金融引き締めはわれわれにはほとんど懸念材料ではないが、バランスシートの縮小に動くとすれば大きな不安を引き起こす」と指摘。「金融当局も、利上げよりもバランスシートの動向の方が先行き、市場の全般的な利回り水準に一段と大きな影響を及ぼすことを強く認識している」とコメントした。

  ダドリー総裁は15日の講演原稿で、償還金の再投資をやめるフェデラルファンド(FF)金利誘導目標の具体的な水準はないものの、金利正常化が「かなり進む」まで保有規模を安定的に維持すると、当局者が想定していることを明らかにした。

Fed Sticking With $2.5 Trillion Stash of Treasuries

  米金融当局は昨年12月に利上げに踏み切った。ダドリー総裁は同講演で、FF金利の誘導目標がもっと引き上げられるまで、バランスシート縮小を待つことが「理にかなう」と説明。償還金の再投資打ち切りを決めれば金融政策の一層の引き締めを意味するだけでなく、過去の経験の欠如を踏まえれば、そうした決定が金融市場環境に与える影響を事前に評価することが困難である点を理由に挙げた。

  TDセキュリティーズの世界金利戦略責任者を務めるプリヤ・ミスラ氏によれば、米金融当局が今年再投資をやめた場合、米財務省は追加の国債発行でその分を補わなければならず、10年債利回りは0.08-0.12ポイント押し上げられる可能性がある。同氏は、QEプログラムと利回りの変化との関係をめぐり米金融当局が10年にまとめた研究結果を基に試算した。

  ドイツ銀行セキュリティーズの金利ストラテジスト、スチュアート・スパークス氏(ニューヨーク在勤)は「米金融当局は引き続き、できる限り緩和的な政策を維持したい意向だ」と分析。長期金利が急上昇すれば金融危機後の回復過程にある住宅市場に打撃となりかねず、再投資継続はそうした破壊的な金利上昇を回避するのが目的だと語った。

原題:Fed’s $216 Billion Treasuries Rollover Recalls Crisis-Era Buying(抜粋)

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE