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米ウィズダムT:日銀買う新ETFに工夫必要、賃上げ選別不十分

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指数連動型上場投資信託(ETF)の運用会社である米国のウィズダムツリー・インベストメンツは、日本銀行が4月以降の投資を予定する「設備・人材投資に積極的に取り組んでいる企業」の株式を対象にしたETFについて、単純に設備投資額や賃上げ率に頼った銘柄選定では投資商品としては不十分で、組成には一段の工夫が必要とみている。

  同社日本法人の最高経営責任者(CEO)を務めるイェスパー・コール氏はブルームバーグの電話取材に対し、組成方法はいろいろあり、例えば春闘で平均以上の賃上げを行った企業を選定、企業の賃金上昇と連動したETFを作ることは可能だが、こうした単純な商品が登場することはないとの認識を示した。

  「投資家にとって賃金上昇は遅行指標で、最初に生産性の向上があって賃金上昇が追いつく」とコール氏は指摘。マクロ経済の視点からは、賃金を上げれば消費も拡大すると理論的に説明できるが、「ミクロ経済の視点からは論理が通らない。そうした特性で株価を選定し、アウトパフォームできるのかどうか疑わしい」と言う。

  また、設備投資についても「新しい工場を建てることなのか、それとも知的財産、研究開発に投資することなのか」と定義の不明瞭さに言及。その上で、単に賃上げ額や設備投資額が多いというだけで投資対象を選ぶ投資家はいない、とも話した。

  日銀は昨年12月、量的・質的金融緩和策の補完措置として設備・人材投資に積極的な企業の株式を対象にしたETFを年間3000億円購入する方針を新たに打ち出した。ことし4月から購入を開始する方針。当初はJPX日経インデックス400のETFを買い入れ対象とし、この施策の趣旨に合致する新規のETFが組成された場合、速やかに買い入れ対象に加えるとしている。

  ブルームバーグ・データによると、国内に上場するETFは200本弱と、米国でのETF本数のおよそ10分の1程度。上場本数の少なさ、国内ETF資産のおよそ半分を日銀が保有する現在の市場は海外に比べ未発達で、こうした中で新型のETFが組成されることは活性化につながるとコール氏は歓迎。「成長見通しのない金融商品を作ることは誰もしないだろう」と、今後の有望な商品の登場にも期待感を示す。

  同氏は、ウィズダムツリーとしても日銀の方針に沿った新型ETFの組成に取り組んでいることを明らかにし、詳細の言及は避けたが、「ウォーレン・バフェットであれ、ヘッジファンドの投機家であれ、賃金上昇率だけをベースに企業に投資することはしない。企業の潜在成長率をもとに投資するだろう」と述べた。

  一方、新しく組成されたETFを日銀が買い入れ始めるには時間がかかるとコール氏は予想。1年後の段階では、新ETF購入枠はおおむねJPX日経400のETFにまだ振り向けられているだろうとみる。

  日銀は設備・人材投資に積極的な企業に投資するETFについて、15日から2月1日まで市場関係者の意見を募集中。野村アセットマネジメントや大和証券投資信託委託、三菱UFJ国際投信など国内金融機関各社は、日銀の要請に応じて新ETFの開発に乗り出した、と14日付の日本経済新聞朝刊は報じた。

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(8段落に新ETF購入ペースに関する見解を追記します.)
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