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住友商:シェールに続きニッケルが信用力直撃、悪材料出尽くさずの声

更新日時
  • CDSは18日時点で130bp、3カ月で倍増し4年ぶりの高水準
  • S&P:資産価格が一段と下落し利益が減少すれば格下げの可能性も

ニッケル開発事業での減損損失計上を発表した住友商事の信用力が約4年ぶりの水準まで悪化している。資源価格がさらに下落すれば、追加減損を強いられ格下げにつながる可能性がある。

  住友商は13日、マダガスカルのニッケル開発事業で約770億円の減損損失が発生する見込みだと発表。他の案件でも減損計上の可能性があるとして、今期(16年3月期)の業績予想を「未定」に変更した。CMAによると同社のクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)は、18日時点で130ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)と、3カ月前の約2倍に上昇した。

  中国経済の悪化を背景にロンドン金属取引所(LME)のニッケル相場(3カ月物)は12日、2003年5月以来の安値となるトン当たり8100ドルまで下げた。スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は15日、同社の格付け見通しを「安定的」から「ネガティブ」に変更。資源価格が一段と下落し利益が減少したなどの場合には、現在の長期格付け「A-」を引き下げる可能性を示した。前期(15年3月期)にはシェール関連で減損損失を計上、格下げに見舞われていた。

  アビームコンサルティングの産業金融セクターシニアエキスパート、松本康宏氏はCDS急上昇の背景について、「業績そのものに加え商品・エネルギー価格の影響を受けている」と指摘。今期業績は黒字を確保できるとの見方を示しながらも、「コモディティの価格がどこで底を打つのか不安定要素がある」として、「悪材料出尽くしという感覚はない」と述べた。

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  住友商事の猪原弘之最高財務責任者(CFO)は、14日の記者会見で今期の純利益について「できたら4桁の最終着地」として1000億円台の最終黒字を確保したい考えを示した。当初は2300億円と予想していた。みずほ証券の尾島淳貴クレジットアナリストは14日のリポートで、15年3月期の減損は、マダガスカルのニッケル事業を含めて1200億円から2000億円程度と試算している。

前期も資源ショック

  住友商は15年3月期にも、米国でのシェール開発を中心とした資源投資に関連して合計3103億円の減損損失を計上。S&Pとムーディーズ・インベスターズ・サービス、格付投資情報センターが15年中にそれぞれ1段階格下げしていた。

  S&Pの柴田宏樹主席アナリストは15日の説明会で、住友商について銅やニッケルなどの資源価格低下に伴い、「そのあたりの減損、さらなる収益性低下の可能性が高まっている」と指摘した。

  ニッセイ基礎研究所の徳島勝幸年金研究部長は、同社のCDSスプレッドに関して「さらに次の損失が出てきて広がることもある」と述べるとともに、「他にも同じようなものがあってもおかしくない」と話し、資源関連の損失が他社に広がる可能性を指摘した。過去1カ月間で商社のCDSは丸紅が58bp、双日が27bp、三菱商事が21bp上昇している。
  
  ジェフリーズ証券のアナリスト、ファム・タアインハ氏は「コモディティ価格の下落により、国内商社による減損が様々な資源で広がっていくだろう」と予想。「三菱商事と三井物産もそれぞれ500億円から1000億円の減損を今後数週間で発表する可能性がある」との見方を示した。

過剰反応との見方も

  年明け以降、中国の景気悪化懸念を背景に原油安や株安が進み、リスク回避の円買いも活発化するなど日本を取り巻く市場環境は悪化している。  

  SMBC日興証券の岩田瑛里クレジットアナリストは、住友商のCDSについて「中国リスクで市況変動が意識される場面では、本来的な信用力よりも過剰に反応する部分が大きい」と話す。「今後の悪影響が過度に意識されている」とし、中長期的には信用力は回復に向かうため、同社のCDSプレミアムの売りには投資妙味があるとした。

  住友商事の広報担当者は、CDS拡大に関して「足元の資源価格下落の影響が過度に意識されていると見ている」と電子メールで回答。「資源価格の低迷は当面続くが、非資源事業は堅調であり、収益力と財務体質の強化を進めることで市場や格付機関の信頼を回復していきたい」とした。

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