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【インサイト】株安は乱舞する一団のせい、原油と中国で説明つかない

株式市場の乱高下は根本的に理にかなわない、ダウ平均の400ドル下落は理解できない-。あなたがそう感じるなら、それにはちゃんとした理由がある。本当に理にかなっていないのだ。

  もちろん、原油安に誰もがおじけづいているが、ほかの要素もある。米国株の売買高は2015年に上向き、11年以来の高水準に達したが、これは価値ある銘柄を選んで資金を投じるバリュー投資家のおかげではない。アクティブ投資のファンドの取引高は過去10年に減少してきた。一方、高頻度取引(HFT)やインデックスファンドは着実に伸びている。クレディ・スイス・グループのアナリスト、アナ・アブラモビック氏のデータによると、昨年はアクティブ運用ファンドの取引が横ばいなのに、市場全体の日中取引平均は顕著に増えた。

Who's Doing the Trading?

High-frequency trading and index funds dwarf the volume of trading done by active managers, according to Credit Suisse.

Source: Credit Suisse analyst Ana Avramovic

  これは新しいニュースというわけではないが、留意しなければならないのは「アクティブ運用」だと考えられている取引もその大半が実は、アクティブな銘柄選択としてわれわれの多くが通常思い浮かべるのとは恐らく違うものだということだ。モメンタムやトレンドを追いかける、あるいはボラティリティ(変動性)の変化に反応するという比較的新しい自動取引の戦略がここには含まれており、リアルタイムの人間の判断が絡む取引はチャートが示すよりも恐らく小さい。

  こうした自動的な取引は、株式指数が強気相場の中でゆっくりと上げている場合には大きな問題を引き起こさずに済んだのだが、そうした状態は昨年8月に終わり、そのまま今年になってしまった可能性がある。その後に起きているのは恐らく、電子取引勢の乱舞だ。その踊りがあまりに激しいので、昔ながらのワルツ愛好者はこぞってダンスフロアを後にしかねない。最終的には電子取引勢が疲れておとなしくなり、ワルツ愛好者が戻ってきて相場をあるべきところに戻す、あるいは少なくとも正しい方向に押しやってくれるという期待はある。

  実際にそうなってくれるだろうか?そのように期待したいが、ブルームバーグ・ビューのコラムニストであるモハメド・エラリアン氏は以下のような鋭い指摘 を行っている。

  投資家のポジションやリスク選好、価格期待の形成に、ボラティリティは影響を与える。変動が長く続けば続くほど、特にここ数週間のように「ボラティリティの変動が激しい」という状況が続くと、市場全体の持続的な下落を伴う公算が大きくなるー。

  また、売買高が上向くことに関しては留意すべき別の要素もある。高い売買高は、市場の乱高下というショックを吸収する役割を果たす流動性を意味するものではなさそうだということだ。JPモルガン・チェースのストラテジストらによれば、重要なのは市場の厚みだ。

  それによると、株式の取引高はしっかりしているように見えるものの、市場の厚みは薄くなる傾向が続いている。過去2年間に厚みは60%余りも減り、大きなショックを吸収する能力が後退。それが昨年8月24日の相場急落で如実に示されたという。

  私は何も、株式相場下落の背景に企業利益の伸び欠如や原油価格、中国減速、信用市場の弱さといった合理的な要因がないと言っているわけではない。だが、市場の動きの荒さや唐突さは必ずしも、ファンダメンタルズ(経済の基礎的諸条件)に大きく関連しているわけではない。

  残念なことだが、少なくとも近い将来において、市場の乱高下は「ニューノーマル」となり得る。JPモルガンのストラテジストらは先週のリポートで、「ボラティリティが構造的に高い環境、さらに重要なことには、市場のテールリスクが高い状態に備えよ」と記している。言い換えれば、シートベルトをしっかり締めよということだ。

  (このコラムの内容は必ずしもブルームバーグ・エル・ピーの意見 を反映するものではありません。)

原題:Robots Are Eating Your Retirement in Volatile Market: Gadfly(抜粋)

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