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【インサイト】ヘッジファンドのトレーダー、ウォール街へ逆戻り

  • ブルークレストのパートナーがJPモルガンPBに移籍
  • 銀行は安全に、ヘッジファンドの状況は悪化

有能なトレーダーたちが、ウォール街の大手銀行よりヘッジファンドに明るい未来を見いだした時期もあった。しかし今はそうでもなくなり、ヘッジファンドから大手金融機関に戻るケースが増えている。

  例えば、元ゴールドマン・サックスの信用デリバティブトレーダーで、数年前にヘッジファンド会社のブルークレスト・キャピタルに移ったジアン・バウスリトル氏は同社を退社した。ブルームバーグ・ニュースが報じた。同氏は今度はJPモルガン・プライベートバンク(ロサンゼルス) に加わると、リンクトインのメッセージでブルームバーグ・ニュースに対し明らかにした。

  「大き過ぎてつぶせない」金融機関に期待するのは同氏ばかりではない。クレジット・ヘッジファンドのトーラジ・キャピタル・マネジメントの創業者、マーク・メルキオーレ氏は昨年JPモルガンに加わった。

  トレーダーやバンカーたちはなぜ、楽しいヘッジファンドライフを体験した後に大手金融機関に戻るのだろう。それは、ここ数年に銀行はより安全になり、ヘッジファンド業界は状況が悪化したからだ。ヘッジファンドの運用成績は市場のベンチマークを下回り、昨年は大きな損失を出して閉鎖や預かり資産の返還に追い込まれるファンドもあった。

  もちろん、トレーダーが退社を決めるのは運用成績のせいではなく報酬のせいだ。人材紹介会社ジョンソン・アソシエーツの2015年11月のリポートによると、同年には多くのヘッジファンド会社で従業員の報酬が15%かそれ以上減少した。ヘッジファンドとその報酬モデルにとって16年は厳しい年だと同リポートは指摘している。

  恐らく、これはまだ控えめな言い方だろう。15年末にまだヘッジファンドで職があった人は幸運な方だ。ディストレスト債投資での08年以来で最悪のパフォーマンスと予想不可能なマクロ経済トレンドに見舞われて、昨年は人員を減らしたりファンドを閉鎖したりするヘッジファンドが相次いだ。

  これに対して大手銀行は、新規制への対応で投機的格付けの債券を着実に売却してきた。また、銀行はトレーディングで得られなくなった収益をコーポレートバンキング業務などで補える。あり得ないような高報酬の日々は戻らないかもしれないが、安定的な報酬は望めそうだ。

  さらに、銀行は今では、ヘッジファンドよりも創造性を発揮できる場所だ。パジャマ姿で携帯電話を通じてローン契約をするようなミレニアル世代の投資家を取り込む工夫や投資銀行の新しい役割の模索、店頭取引市場での電子トレーディング拡大の基礎作りと取り組むことは多い。

  ここ数年の厳しい環境でヘッジファンドの輝きは剥げ落ちた。それに対して、大手銀行で働くことは今では、そう悪くないように見える。

原題:Hedge Fund Traders Jump Back Over the Fence to Wall St.: Gadfly(抜粋)

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