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「雪さえあれば」、エルニーニョがスキー場直撃-景気に悪影響も

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少子高齢化でスキー・スノーボード人口が低迷する中、日本のスキー場がエルニーニョ現象による暖冬で雪不足にも見舞われている。18日は関東地方で雪が降っているが、暖冬が続けばスキー場ばかりでなく日本経済にも影響を与える可能性がある。

  「雪が降ってくれることを祈るのみ。雪さえあれば明日からでも営業したい」--。80年以上の歴史を持つ群馬県の大穴スキー場に約25年間勤めている穂刈玄子さんは14日の電話取材で「例年であればこの時期は1メートル以上積雪があるが今現在、雪が全然ない。茶色い山だ」と嘆いていた。数センチの雪が降っても昼間の気温が高く、すぐに溶けてしまったという。

  観光庁によると1998年にピークの1800万人に達したスキー・スノボ人口は減少傾向で、2013年には半分以下の770万人に減った。ここに雪不足が追い打ちをかけ、大穴スキー場は昨年12月19日予定のオープンを30日にずらしたが、積雪がなく、リフトを運行したのは2日間だけ。年初から運休している。年末年始(12月29日ー1月3日)の利用者数は昨年度比82%減の約500人だった。

  第一生命経済研究所の永浜利広主席エコノミストは、暖冬が個人消費の押し下げ要因となるとして「景気が悪くなる傾向がある」と分析する。東京・大阪の10-12月期の平均気温が前年より1度上昇すると、この時期の家計消費支出は0.6%程度押し下げられ、国内総生産(GDP)も0.3%程度、引き下げられると試算する。

  発達した低気圧の影響で都内でも積雪に見舞われた18日朝、大穴スキー場も30センチー40センチ程度の雪が積もり、今も降り続いている。今日1日、降り積もらせて明日から再開する方針だ。「ついに雪が降った」と喜ぶ穂刈さんだが、「雪もどのくらい続くのか、何日か降り続いてくれると安定すると思うのだが」と不安も残る。

全然いない

  エルニーニョは、太平洋東部の赤道付近から南米ペルー沿岸海域で海面水温が高くなる現象。世界で異常気象を引き起こすと考えられている。14年夏のエルニーニョは昨年11月から12月にかけて最盛期となった。気象庁は東日本と西日本はこの冬を6年ぶりの暖冬と予想した。昨年12月の東日本の平均気温は平年に比べて1.9度高く、同月として1946年の統計開始以来、最も高温で日本海側の降雪量も少なかった。

  大型スキー場を抱える地域では周辺のスキー場から利用客が集まり逆に前年度を上回っている例もある。長野県白馬村によると、村内の5カ所のスキー場の昨年11月から12月の利用者数は17万1164人と前年度比で9.2%増加した。白馬五竜・HAKUBA47の2スキー場は人工降雪機もフル稼働させ、前年度比55.3%増の10万3595人が押し寄せた。

  同じ長野県でも、98年の長野冬期五輪の会場だった国内最大級の白馬八方尾根スキー場では18日午前現在で、下部ゲレンデは一部が滑走不可のまま。上部ゲレンデは12月上旬からオープンしたが、強風に見舞われリフトが一時運休するなどし、同期の利用者数は前年度比12.5%減の5万8154人だった。

  群馬県によると昨年12月29日から今年1月3日までの6日間の県内の主なスキー場(23カ所)の利用者数は対前年度比30.6%減の16万6233人まで落ち込んだ。大穴スキー場がある水上地区では、18日現在で10カ所のうち5カ所が休業している。

  穂刈さんは「水上の町中がどんよりしている。コンビニや、ガソリンスタンド、駅前の商店街にもお客様が全然いない」と話した。

  共同通信によると、長野県軽井沢町で14人が死亡したスキーツアーのバス事故では、雪不足でスキー客が少ないことを理由に企画した旅行会社が国の基準よりも低い料金でバス運行を受注したことも分かった。国交省は道路運送法違反に当たり、安全なバス運行のための適切な経費や人材の確保を目的としたルールが軽視されたとして行政処分を検討しているという。

(第1段落以降に18日の降雪などを追加して更新します.)
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