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日本の小型株、波乱相場で大型をアウトパフォーム-増益率優位も

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人民元安や上海株急落など中国市場の混乱、中東情勢など地政学リスクへの警戒から年始につまずいた世界の株式市場。日本株も東証再開の1949年以降初めて大発会からの6日続落を経験した中、規模別でみると小型株が大型株に対し底堅い動きとなっている。海外市場の影響を受けにくい特性に加え、来年度の増益率が大型株を上回るとの期待感が要因だ。

  2016年年初から14日までの東証マザーズ指数は6.9%安、TOPIXスモール指数は8.4%安と、同期間のコア30指数の9%、ラージ70指数の10%安、TOPIX100指数の9.5%安などをいずれもアウトパフォームしている。世界的株安の震源地だった中国上海総合指数は15%安。

  みずほ証券エクイティ調査部の三浦豊シニアテクニカルアナリストは、「小型株は内需的な銘柄が中心のため、海外の影響を受けにくい」と指摘。海外市場の急落局面では「大型株が動きにくいため、日々売買している個人投資家が小型の方にいっている。大型が不安定な間、中小型が強い動きになる」と話す。

Japanese small caps

  世界株波乱の中で日本の小型株が大型株に対し堅調に推移する動きは、昨年夏に中国株が急落した場面でもみられた。中国人民銀行が人民元の切り下げを行った8月11日から9月29日までにTOPIX100が19%下げた一方、スモールは14%安、ミッド400指数は16%安だった。

  今年初も人民元切り下げの材料があったほか、昨年12月の米国利上げを受けたマネーフローの変化に警戒が強まり、リスク回避姿勢から為替市場で円がドルや元に対し上昇。ドル・円は一時1ドル=116円70銭と昨年8月以来の円高水準を付けた。円高進行の場面では電機、自動車といった輸出セクターへの投資は業績への懸念から敬遠されがちで、相対的に内需セクターの多い中小型株に投資家の目が向かいやすい。

来期は2桁増益予想、ブロックチェーンなど話題性も

  TOPIXの業種別ウエートをみると、11.5%の電機がトップで、10.6%の輸送用機器が2位。3位以下の銀行(9.2%)、情報・通信(7.7%)、化学(6%)などに対する数値の大きさが目立つ。一方、マザーズ指数のウエート上位はCYBERDYNEそーせいグループミクシィタカラバイオFFRIなどで、ロボットスーツや創薬ベンチャー、遺伝子研究、インターネットといった内需系企業がマザーズ市場全体に対し影響力を持っている。

  為替との相関性は大型株に比べ小型株の方が薄い。過去3年間のTOPIX100のドル・円に対する相関係数は0.652。これに対しスモール指数は0.548、ミッド400は0.615だった。係数は1に近づくほど関係性の深さを示す。

  相対的に小型株のパフォーマンスが良い背景には、来期業績への期待感もある。三菱UFJモルガン・スタンレー証券のまとめでは、17年3月期の中小型株の経常利益予想は前期推定比10.2%増と、大型株の6.6%増を上回る。古川真シニアポートフォリオストラテジストは、「来期の増益率が2桁予想かつ大型株と比較して高い点は注目される可能性がある。特に大型株の業績鈍化や株価の上値の重さが意識される状況になれば、中小型株は大型株をアウトパフォームする場面もあるだろう」とみる。

  CLSAの日本担当ストラテジストのニコラス・スミス氏は小型株の堅調について、海外投資家が目を向けていないことが一因と分析した。「アベノミクスが始まった当初に市場が動いた際、海外勢はコア30指数を購入し、その後買い入れ対象を拡大していったが、中小型株市場で何が起きているのか注視している海外投資家は少ない」と言う。

  14日時点のコア30銘柄の年初来パフォーマンスは全てマイナス、最も下落率が小さいのは1.8%のNTTドコモだ。一方、マザーズ指数では構成210銘柄のうち、がん免疫治療薬研究のグリーンペプタイドの株価がこの短期間にほぼ2倍となった。TOPIXスモールの上昇率トップは2.5倍のさくらインターネットで、改ざん不可能なセキュリティ環境などの構築コストを削減するブロックチェーン関連銘柄として注目を集める。

  SMBC日興証券の阪上亮太チーフ株式ストラテジストは、中長期視点でも中小型株の相対的優位性を指摘。13年以降、中小型株が持続的にアウトパフォームし続けているとし、「アンダーカバー銘柄の方が低バリュエーションとなる傾向が強く、株価の上昇ポテンシャルが大きい」との認識を示す。過去10年間の平均増益率の分布からも、「中小型株の方が大型株よりも大幅増益となる企業の割合が高い」ため、今後も中小型株のアウトパフォーム傾向は強まる方向にあるとみている。

  一方、米国のケースをみると、日本とは逆の現象が起きている。小型株で構成されているラッセル2000種指数は直近高値から10%以上下落し、対S&P500種株価指数のパフォーマンスは6年ぶりの低水準付近だ。

(文末に米国の小型株動向を追記します.)
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