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伊藤忠の岡藤社長続投へ、経営課題めど付ける-成否分ける剣が峰

更新日時
  • 中国事業やファミマとユニーの経営統合が課題
  • 株主やメーンバンクなどステークホルダーから続投求める意見

伊藤忠商事の岡藤正広社長は12日、社長職を続投する意向を表明した。午後3時に社内のイントラネットを通じてグループも含めた全役職員に向けて伝えた。伊藤忠の社長は過去2代続けて6年で交代しており、今年就任から6年目を迎える岡藤社長にも交代観測が出ていた。

  伊藤忠・広報部の高田知幸部長が同日午後、岡藤社長の続投表明について報道各社に説明した。それによると、岡藤社長は社内向けのメッセージで「総合商社の頂点がもはや十分な射程距離に入ったとはいえ、今後の進み方で成否が分かれる剣が峰に置かれている」と指摘。「この数ヶ月悩みぬき、現在、眼前にある経営課題だけは自分の代でめどを付けなければならない。そのためにはあとしばらく社長を続けるしかないとの思いに至った」などと説明したという。

  岡藤社長は昨年11月の投資家向け決算説明会で2つの経営課題を挙げていた。1つが中国政府系企業の複合企業である中国中信集団(CITIC)傘下の企業にタイ財閥チャロン・ポカパン(CP)グループと共同で合計約1兆2000億円を投じた提携の具体化に向けた取り組み。もう1つが、今年9月に予定しているグループ会社でコンビニエンスストアのファミリーマートと総合スーパーのユニーグループ・ホールディングスの経営統合。

  伊藤忠は今期(2016年3月期)に連結純利益で初の総合商社トップとなる見通し。岡藤社長は「伊藤忠の150年の歴史の中でいよいよ総合商社1位という悲願が現実のものになりつある。皆さんのたゆまぬ努力のたまものと心から感謝しております。私にとって最高の花道でもあります」と言及した。

  その上で「ところが大株主やメーンバンク、海外の資本提携先、アナリストなどのステークホルダーをはじめOBや周囲の方々から多くのご意見をいただくようになった」とし、社外取締役や次期社長を決める指名委員会でも議論したうえで続投を決めたという。

  大和証券の五百旗頭治郎シニアアナリストは、伊藤忠が投資したCITICグループの主要事業は金融事業で、中国の景気鈍化の影響などからリスクも高まっていると指摘。「社長交代によって事業の不透明感が強まることも懸念されていたが、続投は株価にとってもポジティブ」と語った。株式市場では伊藤忠の株価に対して“岡藤プレミアム”という言葉も使われており、「日本の他の経営者と比べても株価を非常に意識した経営者。利益に対するこだわりも岡藤経営の一つの柱であり、業績の下振れリスクも少ない」と評価した。

(最終段落に市場関係者のコメントを追加して更新します.)
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