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【コラム】6400%リターンの運用者も白旗掲げた今の市場-ギルバート

ゼロヘッジのウェブサイトに、マーティン・テーラー氏のネブスキー・キャピタル・新興市場ファンドと幾つかのMSCIの指数を比較したチャートが載っている。

  それによると、パフォーマンス最良の指数の1995年3月以降のリターンは300%弱だが、テーラー氏のファンドは6400%余り。ベンチマークの20倍以上のリターンを達成した40代後半の運用者のキャリアは盤石だと思うだろう。しかしテーラー氏は先週、ファンドの閉鎖を決めた。理由として挙げたのは、現在の市場環境と、それが相当期間続くとの見通しだ。このような状況下では、満足のいくリスク調整後リターンの達成という目標を満たせないという。

  テーラー氏はさまざまな投資の阻害要因を挙げる。一つには、中国とインドの世界での重要性が増しているにもかかわらず、両国の経済指標の信頼性が低いため世界経済の予測が立てにくくなっていると指摘。

  また、コンピューターによる取引が市場の不合理を高めているほか、ロシアや南アフリカ共和国などでの国家主義の台頭によって、ますます予想不可能な形で政治が経済に優先する可能性があるとも分析した。つまり、ちょっとした事象が大きな変化を引き起こすバタフライ効果が恒常化し、「市場が不合理であり続ける期間を破産せずに乗り切るのが無理なファンダメンタルズ重視の投資家は締め出される」という。

  ある意味で、テーラー氏が運用をやめようと決めた理由の分析で一番心配なのは同氏の気持ちの部分だ。不合理な市場のトレンドが投資家が耐えられる以上の長期に及ぶ恐れがあるため、「私たちが何よりも楽しんできたこと、つまり経済指標や企業財務を分析して予測するという作業がもはや楽しめるものではなくなった」という。

  運用が心の底から好きでなかったら、6400%超のリターンは出せないだろう。そのテーラー氏が市場を出し抜くための日々の戦いへの意欲を失い、そしてそのような受け入れ難い環境が何年も続くと考えているなら、株価が急落した今年最初の週に投資家は今後1年の間に味わう経験を垣間見たかもしれない。(マーク・ギルバート)

(ギルバート氏はブルームバーグ・ビューのコラムニストです。このコ ラムの内容は同氏自身の見解です)
原題:He Made 6,400%, Can’t Trade This Market: Mark Gilbert(抜粋)

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