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【今週の債券】長期金利低下か、需給逼迫継続-物価連動債入札に注目

  • 長期金利の予想レンジは0.20-0.27%、過去最低水準に接近場面も
  • 物価連動債入札、次回入札では今回ほど安く買えない可能性との見方

今週の債券市場では長期金利が引き続き低下すると予想されている。日本銀行の長期国債買い入れオペが今月から増額されたことで需給が一段と逼迫(ひっぱく)しており、金利低下圧力が掛かりやすいとの見方が背景にある。

  長期金利の指標となる新発10年物国債利回りについて、ブルームバーグ・ニュースが前週末に市場参加者3人から聞いた今週の予想レンジは、全体で0.20ー0.27%となった。前週は一時0.225%と1年ぶり低水準を付け、2015年1月20日に記録した過去最低水準の0.195%にあと3ベーシスポイント(bp)まで迫った。

  パインブリッジ・インベストメンツ債券運用部の松川忠部長は、「昨年1月には新発10年債利回りが0.2%、5年債はゼロ%に到達した。今は20年債と30年債が主戦場となっており、イールドカーブにはブルフラット化の余地がまだある」と話した。

  米国市場で前週末に発表された昨年12月の米雇用統計では、非農業部門の雇用者数が前月比29万2000人増と市場予想(20万人増)を大幅に上回った。米雇用の順調な回復が続いているとことが確認されたが、中国経済を取り巻く根強い不透明感を背景に売りは一時的にとどまった。

  野村証券の松沢中チーフストラテジストは、「昨年8月の中国ショックほど劇的ではないが、つかみどころのない今回の中国ショックに対して、米国では3月の連続利上げに疑問符を付け始め、欧州では再び追加緩和を織り込む動きになってきた」と指摘。「日本では追加緩和期待があまり高まっている様子はないが、その分インフレ期待の低下に沿って債券ブルフラット化が続いており、このトレンドは続くだろう。昨年1月の水準をいったん更新する可能性が高い」とみる。

物価連動債入札

  財務省は13日午前、10年物価連動債入札を実施する。価格競争入札によるダッチ方式。前回入札された20回債のリオープン発行となり、表面利率は年0.1%となる見込み。発行額は前回債と同額の5000億円程度となる。

  10年物固定利付国債と物価連動債との利回り差で、市場の予想インフレ率を示すBEI(ブレーク・イーブン・インフレ率)は足元で0.7%台割れとなっている。財務省が物価連動債の発行を再開した2013年10月以降で最低を記録している。

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  野村証券の松沢氏は、現況下ので物価連動債購入について、「相場を動かす変数は原油価格だけではなく、より見通しやすいコアコア部分の消費者物価、主要国の金融政策、債券需給などがあり、原油価格そのものをトレードするよりは、価格の妥当性や反転のタイミングについて、分析や予想をする余地があるだろう」と指摘。「BEIが現状で底を打った確信度は低いが、次回4月の入札では1月入札ほど安くは買えない可能性はそれなりに高いとみている」と言う。

  15日には流動性供給入札が予定されている。投資家需要の強い既発国債を追加発行する入札で、今回の対象銘柄は残存期間15.5年超から39年未満。発行予定額は3000億円程度となる。

予想レンジと相場見通し

  市場参加者の今週の先物中心限月、新発10年物国債利回りの予想レンジと債券相場見通しは以下の通り。

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◎JPモルガン・アセット・マネジメントの塚谷厳治債券運用部長
先物3月物=149円00銭-149円60銭
10年物国債利回り=0.20-0.27%
  「足元の債券相場上昇は世界経済に対する不安感が強まっていることが大きい。原油安や中国経済の動向を受けたリスク資産下落や円高進行のほか、日銀による追加緩和期待もくすぶっている。今週も原油相場、中国株、人民元の動きに注目している。このうち、世界経済への貢献度という意味で中国の影響は大きく、どの辺で落ち着くのかが鍵だが不透明だ。一方、物価連動債入札ではBEIが下がるリスクを想定している 」

◎パインブリッジ・インベストメンツ債券運用部の松川忠部長
先物3月物=149円10銭-149円50銭
新発10年物国債利回り=0.20-0.25%
  「原油価格や中国経済の状況は1年前よりデフレ的で、日銀国債買い入れオペも増額されたが、イールドカーブは十分に織り込んでない。中国から米国のファンダメンタルズに焦点が移るとみている。雇用が強くても米企業決算が良くないと賃金上がらず、米経済にピークアウト感が出てくる。需給の買いから次第にファンダメンタルズの買いへとなりそうだ。月末には日銀金融政策決定会合も控える中、無警戒だった前回会合の残像から売りづらい」

◎アムンディ・ジャパンの浜崎優投資情報部長
先物3月物=149円00銭-149円40銭
新発10年物国債利回り=0.22-0.25%
  「年初からの急激な金利低下の要因として、市場予想を上回る原油安、サウジアラビアとイランの国交関係断絶、サーキットブレーカー発動などをはじめとする中国問題、円高進行などが挙げられる。これらの問題は早期に解消されるとは見込みにくい。米雇用統計回復でも、これらの問題を解消できるほどではない。足元の株価がファンダメンタルズを超えて下落したのと同様に、金利水準にも行き過ぎ感がある。低位な水準に張り付いて推移するとみている 」
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