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ドラゴン級テールリスク、中国不安があおる世界経済のブラックスワン

  • UBSが想定する最悪のシナリオ、2016年の中国経済4%成長
  • 世界経済はリセッション回避も、日本や韓国などは免れない恐れ

年最初のブラックスワンが姿を見せるまでに、2016年は1営業日しか要しなかった。

  中国株CSI300指数の7%急落をきっかけに、世界中で株式が売りを浴びた4日。中国経済の不振が世界経済の成長にどう影響するのか、UBSグループは昨年12月の調査リポートで披露した分析をあらためて顧客に説明した。

  UBSは今年の中国経済成長率を6.2%と予想しているが、このリポートでエコノミストやストラテジストがまとめた最悪のシナリオでは今年の成長率はわずか4%にとどまる。

  救いは、世界経済がリセッション(景気後退)を免れると見込まれることだ。中国経済は現時点で世界全体のGDPの約15%を占めるものの、先進国経済は依然として新興国ほどには貿易に依存していない。人民元の国際的な役割がまだ限定的なこともあり、中国の金融システムが何らかの形で引き締められても、国外に波及する可能性はさほど高くないとみられる。

日本などアジアの貿易相手国は別の話

  しかし幸運に恵まれない国もある。アジアの貿易相手国はとりわけ強く打撃を受けそうだ。具体的には日本と韓国、タイ、マレーシアがそろってリセッションに転落し、オーストラリアも事実上のゼロ成長になるというシナリオをUBSは描く。

  中南米諸国をはじめとする資源国も痛手を負う。中国経済のハードランディングは原油価格を1バレル=25ドルに押し下げ、鉄鉱石や銅鉱石の価格はさらに20%下げる可能性がある。

  先進国も無傷では済まない。米経済は今年2.8%成長と予測されているが、UBSのシナリオではこれを0.5ポイント下回る。欧州については1.8%成長の予想が0.8ポイント下押しされる見通し。

  10兆ドル(約1190兆円)規模の中国経済は2015年に25年ぶりの低成長となった可能性が高いが、最新のデータからは安定化の兆しがうかがわれる。6度に及んだ利下げと巨額の財政投入が奏功した格好だ。しかしながら中国GDPの約20%を占める輸出の低迷は、引き続き成長の足かせとなる。

  中国経済が深刻な低迷となっても米連邦公開市場委員会(FOMC)は今年、追加利上げを決行しそうだ。UBSのベースシナリオでは今年の利上げ回数を4回と見込むが、最悪のシナリオでは2回となっている。クリーブランド連銀のメスター総裁は4日のブルームバーグとのインタビューで、中国はFOMC予測に対する「重大なリスク」にはならないと発言しており、2回に減らすとなると想定外の事態だろう。一方で日本銀行と欧州中央銀行(ECB)はさらに緩和策を強化する可能性が高いというのが、UBSのシナリオだ。

  今年の中国経済が4%成長にとどまるというシナリオについてUBSは、依然「可能性は非常に低い」としており、そうなるには不動産販売の軟化再発や債券投資の縮小など主要なダウンサイドリスクがそろって現実化する必要があると指摘する。また政策当局が追加緩和による対応を渋るなど、条件が整わないと実現しないという。

原題:Dragon Tail Risk for World Economy on Higher Fear of China Slump(抜粋)

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