三菱UFJフィナンシャル・グループは、情報通信技術(ICT)を新しい金融サービスに活用するため、研究・開発を進める部署を新設する。大手邦銀によるフィンテックの分野でのこのような取り組みは初めてという。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。

  三菱UFJは8日に「イノベーション・ラボ」を設置する予定。すでに情報収集を始めている米シリコンバレーと合わせ、日米2拠点体制とする。当初15人の人員は2016年中にも外部採用などの検討も進め20人程度に拡大する計画。将来的にはアジアの主要都市にも拠点の設置を目指す。

  三菱UFJを含む既存金融機関は、ICTに長けたベンチャー企業の台頭で収益機会が奪われるリスクの回避と同時に、こうした企業の獲得を狙っている。米マッキンゼーは15年グローバルバンキング報告書でフィンテック関連企業が「爆発的」に増加していると指摘。8月末では1万2000社で、投資額は14年が122億ドル(約1兆5000億円)と1年で3倍に拡大した。
 
  イノベーション・ラボでは、デジタルイノベーション推進部と経営企画部との共管で経営直轄とし、銀行だけでなく傘下の証券会社や信託銀行、消費者金融なども含め全社的に新サービスや事業開発を進めていく。ICT活用の可能性を探るため、大学や研究機関、フィンテック関連のベンチャー企業などの外部知見を積極的に取り込んでいく方だ。

  ラボでは、多様な発想を生み出す環境作りの一環として服装は自由とし、ジーンズやポロシャツなどでの勤務も可能とする。三菱UFJ広報の北浦太樹氏はイノベーション・ラボの開設についてコメントを控えた。

  三菱UFJは国際金融システム上で重要な銀行(GーSIBs)として、今期から3年間の中期経営計画でICTを活用したサービスの開発を重要戦略に掲げている。海外では米シティグループやウェルズ・ファーゴ、スペインのBBVAなどがフィンテック関連の研究所を開設しており、三菱UFJは巻き返しを図る。

  三菱UFJは海外では、米JPモルガン・チェースやゴールドマン・サックスをはじめ22機関と共同で仮想通貨などに使う新技術「ブロックチェーン」の開発を推進。国内ベンチャー企業との協業では昨年12月にフィンテックのコンテストで入賞したフィナテキストと組み、投資初心者にインターネットバンキングの利用を促すサービスを始めている。

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