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日本を「イノベーション大国」に-国産旅客機や自動運転は序の口

更新日時
  • 安倍政権は2020年の東京五輪を前にイノベーション強化目指す
  • 中国や韓国が強力なライバル-研究開発投資をハイペースで増加

日本が国の再起動を目指している。

  安倍晋三首相は世界3位の経済大国である日本の再活性化を図っているが、この一環で2020年の東京五輪開催を前にイノベーション(技術革新)を加速させようとしている。

  自動運転車の路上導入やロボット技術をベースとする最新のテクノロジー利用に向けた公的・民間セクターの共同プロジェクトを国が支援。首相は、官民合わせた研究開発投資の国内生産(GDP)比率を2015年度までに4%に引き上げることを目指している。総務省によると、13年度は3.75%だった。また現在世界5位のイノベーション(技術力)世界ランキングを17年度末までにトップするにする目標を掲げている。

  航空部門ではここ数カ月に進展が既にあった。約半世紀ぶりの開発となった国産旅客機が初飛行に成功したほか、国産ステルス機のテスト飛行にも近づいている。これに成功した国はこれまで3カ国のみ。また、ホンダは小型ビジネ ス航空機「ホンダジェット」の型式証明を米連邦航空局(FAA)から取り付けた。

  ヘルスケアでも進歩が見られる。政府は14年、薬事法を改正。これで再生医療に使う細胞や組織の早期承認が可能となり、富士フイルムホールディングスは組織や臓器の再生を促す幹細胞利用に野心的だ。また、15年のノーベル物理学賞受賞者を陰で支えていたのは浜松ホトニクスの光センサー技術だった。

  最盛期の日本からは「ウォークマン」や新幹線といった世界のイノベーションをけん引するような製品や技術が登場したが、近年はかつての輝きを失っている。1990年代初頭のバブル崩壊後の経済成長停滞とデフレが企業の信頼感や事業計画に重しとなってきたほか、隣国である中国や韓国が研究開発投資を急増。現在のスマートフォンやインターネット産業を率いるのは米グーグルアップル、韓国のサムスン電子などだ。

  一方、日本は自動車業界では世界のリーダーの地位を保っている。日産自動車は昨年11月、ハンドルを格納してドライバーを運転から解放するモードを設定したコンセプトモデルを自動車ショーに出展。ホンダやトヨタ自動車もドライバーの操作なしに車線を変更したり衝突を回避したりする完全自動運転の最新技術を披露した。

  ベンチャー投資を行うスクラムベンチャーズ(本社サンフランシスコ)の創業者、宮田拓弥氏は、トヨタや他の自動車メーカーは市場シェア、技術、データから見て、同業界の中で引き続き非常に有利な立場を維持していると説明、スマホでの失敗とは異なり、十分に迅速に動けば日本はこの分野では勝者となりイノベーションを率いることができると話した。

  とはいえ、競争相手も取り組みを加速させている。経済協力開発機構(OECD)によれば、中国も韓国も近年は研究開発投資を日本よりも速いペースで増やしてきた。中国の研究開発投資は対GDP比で13年に2.08%と、2000年の0.9%を大きく上回った。韓国は4.15%と、2000年の2.18%から大幅に引き上げた。日本は3.47%(2000年は3%)だった。さらには中国の企業は韓国企業の買収をかつてないペースで進めており、これも日本にはリスクとなる。

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  最近のデータは日本企業が設備投資を増やしている状況を示すが、それでも多くが自国市場への重点投資には後ろ向きで支出は07年につけたピークを大きく下回っている。

  みずほ総合研究所の徳田秀信主任エコノミストは、最大の課題は生産性を押し上げ経済上の結果をもたらす適切なプログラム向けの資金を確保することだと述べた。日本の経済規模からすると研究開発投資額は十分な大きさがあり、「額を伸ばすよりは中身の効率を高めることが課題」だとして、特に民間部門にその必要性を指摘した。

  これに対し、マッキンゼーのシニアパートナーでイノベーションが専門のエリック・ロス氏は、日本は現在のポジションを維持するだけでも多大な投資が必要だと説く。競争が激化している現状では「速く進んでいるつもりでも足踏み状態に終わる。加速させたいのなら、一段の投資が必要だ」と述べた。

原題:Planes, Trains and Automobiles Showcase Japan Innovation Push(抜粋)

(第3段落の政府目標、第11段落のコメントを補足します.)
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