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危機と背中合わせの欧州、今年も苦難続く見通し-難民流入で

  • ポピュリズムは東欧で最も顕著だが東欧だけに限らないとの見方
  • 欧州株式市場のボラティリティ、昨年8月に4年ぶり高水準近辺

欧州の海岸で息絶えるシリア難民たち、パリの通りで発生したテロ事件、ナショナリズムの高まりによって欧州連合(EU)の結束維持への疑念が強まる-。これらが2015年の欧州のイメージだった。

  今年は難民危機が緊迫した新たな段階へと移行することでEU域内の自由な移動の原則が脅かされているほか、英国はEUを脱退する可能性があり、及び腰のドイツは再びEUの政治と経済を支える役割を担うことを余儀なくされそうだ。

Munich On Alert Following Terror Warning

1月1日にミュンヘンをパトロールする警官たち

  フランス国際関係研究所(パリ)の研究員、フィリップ・モロードファルジュ氏は「昨年はEUにとって厳しい年だったが、EUにとっての潜在的危機は引き続き計り知れない」と指摘。「ポピュリズムは東欧で最も顕著に表れているが、東欧だけに限ったことではない」と述べた。

  シリアで内戦が続く中、最も見極めが難しいのは、昨年11月にパリで発生し130人が死亡した過激派組織「イスラム国」支持者によるテロ事件と同様の規模の攻撃が再び起こる可能性だろう。EUの首都機能を担うブリュッセルでは新年にテロが発生する可能性があるとして警戒が強化された。

  ロシアに隣接しているほか混乱状態にある中東から空路で短時間に位置するという欧州の地理的条件に加え、EUあるいはユーロ圏は分裂するのか、スペインまたは英国はEUにとどまるのかといった不確定要素が欧州の取引環境を不安定にしている。株式市場のボラティリティ(変動性)を示す指標は昨年8月に4年ぶりの高水準に近づいた。

Volatility Increases in 2015

  厄介な政治状況と社会不安とは裏腹に、欧州中央銀行(ECB)の低金利政策と原油安を背景に欧州の経済見通しは改善すると予想されている。欧州委員会はユーロ圏19カ国の16年の経済成長率を1.8%と予測。予想通りなら5年連続で米国を下回るものの、欧州としては10年以来の高水準となる。

  Moo.laの創業者で最高経営責任者(CEO)のジェンマ・ゴッドフレイ氏はブルームバーグテレビジョンで「市場をより大きく動かしているのは金融政策であり、ECBは追加刺激策の余地を大いに残している。それが市場関係者に多くの希望を与え、市場を下支えするだろう」との見方を示した。

原題:Crisis-Prone Europe Faces 2015 Redux as Migration Imperils Unity(抜粋)

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