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中国の政策リスクに16年も注目-資本規制撤廃や債務削減、人民元下落

  • 16年も政策に起因する混乱リスクが引き続き存在するとエコノミスト
  • 当局の対応素早く、大きな過ちをそのまま続ける公算小さいと丁爽氏

2015年の中国経済は政策のつまずきが大きくのしかかった。賛否両論があった株価対策や世界の金融市場を揺るがした人民元の切り下げに加えて、財政改革は地方政府の資金難を引き起こし、引き締めを緩めざるを得なくなった。

   今年もそれは変わらないかもしれない。

  スタンダードチャータードの中国担当チーフエコノミスト、丁爽氏(香港在勤)は「16年も政策が最大リスクの一つだ。中国経済は運営がより難しくなっており、ミスが起きかねない。だが政策担当者の対応はどちらかといえば素早く、大きな過ちを犯してもそのまま続ける可能性が小さいのは良いことだ」と指摘した。

  エコノミストは、16年も政策に起因する混乱のリスクが存在すると考えており、資本規制の撤廃や債務抑制政策の行き過ぎ、人民元の急落などが想定されている。そのような結末は基本シナリオに含まれているわけではないが、16年に政策が混乱を引き起こしかねない分野を次に示す。

               人民元安

Rocky Ride for Yuan

  昨年8月の予想外の人民元切り下げで世界の金融市場が動揺して以降、中国の政策担当者は元相場の安定を維持する方針を強調している。しかし、JPモルガン・チェースの中国担当チーフエコノミスト、朱海斌氏(香港在勤)は、人民元相場がなお5-10%過大評価されていると分析し、元相場は持続不可能に思われるとの見方を示す。

  一方、ナティクシスのアジア太平洋担当チーフエコノミスト、アリシア・ガルシアエレロ氏(香港在勤)は、16年の最大リスクの一つは人民元の急落であり、ドル高が続けばこうしたリスクが顕在化するのは「ほぼ確実」だと話す。

             企業債務のデフォルト

Corporate Debt Has Been Rising

  米財務省の元中国専門家で、現在は資金運用会社TCWグループのアナリストを務めるデービッド・ロービンガー氏(ロサンゼルス在勤)は、中国当局は「リーマン・モーメント」を回避しようとするだろうが、人民元相場の調整に対する市場の反応を過小評価したように企業のデフォルト(債務不履行)についても、同じような過ちを犯すリスクが常に存在すると指摘した。

            債務削減に伴うリスク

  15年は早い段階での地方政府投資を抑制する熱心な取り組みが影響し、7-9月(第3四半期)の経済成長率は四半期ベースで09年以来の低い伸びにとどまった。借り手が返済できない恐れがある場合でも、プロジェクト向けの銀行借り入れに再び道を開くなど、当局は方針を転換した。

  コメルツ銀行の周浩エコノミスト(シンガポール在勤)は、中国政府は16年に債務削減に取り組む見通しだが、それは難しいプロセスであり、「何らかの市場混乱が起きる可能性は排除できない」と語った。

                資本規制

  シドニー工科大学の豪中関係研究所のジェームズ・ローレンスソン副所長は、国際通貨基金(IMF)の特別引き出し権(SDR)の基準通貨として人民元の採用が決まったことで、個人投資家に課している海外資本規制の完全撤廃が、最大の政策サプライズになる可能性があると予想する。

  ローレンスソン氏は、中国の預金者が投資先の国内資産以外への分散に動き、資本流出が加速すれば、人民元相場を当局がどう扱うかが試金石になるとした上で、「元安を当局が容認し、それが実体経済の緩衝材として機能し始めることが望ましい。人民元相場の安定維持を目指しつつ、資本勘定のさらなる開放を進めることは大きなリスクであり、惨事を招く危険な行為だ」と述べた。

            杞憂に終わる可能性も

  潜在的な問題を心配するのが人間だが、リスクには2通りある。中国に対する強気派の見方が正しい可能性も常にあり、習近平国家主席の改革プログラムによって過剰生産能力が圧縮され、生産性が高まりイノベーション主導の拡大につながることで経済成長率が再び加速することもあり得る。

  いずれにせよ、中国が16年の世界経済の行方を決定付ける重要な役割を担うことは間違いなさそうだ。

原題:China’s Policy Risks to Watch After a Year of Living Dangerously(抜粋)

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