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自ら学習する人工知能ロボット-ファナックとベンチャーが共同開発

  • 処理能力ゼロのロボットが8時間でエキスパートに変身
  • ディープラーニングであらゆる機械が恩恵-プリファード西川社長

ばら積みされた金属製シリンダーを前に、産業用ロボットはその写真を撮った後、1本1本きちんと取り出していった。驚くべきことにこのロボットは、8時間前にはシリンダーを摘み上げる能力などほとんどなかったという。

JAPAN ROBOT EXPO

A Fanuc industrial robot lifts a vehicle during a demonstration at the International Robot Exhibition in Tokyo

Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg

  産業用ロボットメーカーのファナックは、今週、都内で開かれた「2015国際ロボット展」で、人工知能ベンチャーのプリファード・ネットワークスとともに開発したロボットをお披露目した。ディープラーニング(深層学習)と呼ばれる自己学習機能によってスキルを自動的に身に付けるロボットだ。

  深夜の工場で、ロボットは組み込まれたアルゴリズムに従って試行錯誤を繰り返しながら、ばら積みされた物を正確に摘み上げるスキルを学習していく。8台のロボットが同時に作動し、それぞれが学習した情報を共有すれば、こうした作業を1時間でできるようになる。作業の正確性は90%だが、ファナックのベテラン技術者がこの作業水準をこなすためのティーチングプログラムを書き上げるのには数日を要するという。

  「ディープラーニングによって、機械は大量のデータからどういう法則や知見があるかを自動的に抽出することができる」と、プリファード・ネットワークスの西川徹社長は話す。つまりロボットは、どういう動作が成功し、どういう動作は失敗したのかを理解するだけでなく、「どうすればうまくいくのか自体を自動的に学習していく」のだという。

  西川氏によれば、この学習機能は来年から産業用ロボットに実際に搭載される見通しだ。また、両社は工場の操業停止につながりかねない機械故障を予測する異常検知ソフトウエアも開発中という。

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This Robot Goes From Zero to Deep Learning in 8 Hours

Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg

  こうしたアルゴリズムは、生き物が情報を処理する方法にヒントを得たとされ、すでにフェイスブックの写真の自動タグ付けやグーグルの広告配信にも使われている。そして今度は、ハードウエアを生産するトヨタ自動車やサムスン電子が自社製品に問題解決機能を搭載しようと、投資を加速させている。

  ファナックは今年、プリファード・ネットワークスの株式6%を9億円で取得した。これに先立ちライバルのABBは人工知能ベンチャーのバイカリアスに数百万ドルを投資している。

  西川氏はACM国際大学対抗プログラミングコンテストで上位に入った経験を持つ。2014年3月に東京大学のクラスメートだった岡野原大輔氏(現副社長)とプリファードを設立した。それから1年余りでファナックのほか、トヨタやパナソニックがパートナーに名前を連ねるまでになっている。

  「この技術はファナックに限ったものではない。すべての機械に適用することができる」と西川氏は話した。

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The Fanuc logo on an industrial robot

Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg
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