GPIF:収益率マイナス5.59%、08年度以降で最悪-7~9月期

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  • 国内株式の収益率はマイナス12.78%、10年4-6月期以来の低水準
  • 国内債の収益率0.6%、収益額3022億円-3四半期ぶりにプラス

世界最大規模の年金基金、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が30日午後に公表した2015年度第2四半期(7-9月)の運用状況によると、収益率はマイナス5.59%と、同一基準でさかのぼれる2008年度以降で最悪となった。世界的な株価急落や円高を背景にほとんどの運用資産が前期を下回った。

  7-9月の収益率は、前身の年金資金運用基金として自主運用を始めた01年度以降で、財投債を除く市場運用分を比較すると、米同時多発テロがあった01年7-9月期のマイナス7.84%とリーマンショック直後に当たる08年10-12月期のマイナス6.09%に次ぐ過去3番目の悪さだ。

  同期の収益額はマイナス7兆8899億円。運用資産額は135兆1087億円と5四半期ぶりに減った。自主運用開始からの累積収益額は45兆4927億円と、4-6月期の53兆3826億円から目減りした。

  国内株式の収益率はマイナス12.78%と10年4-6月期以来の低水準。収益額はマイナス4兆3154億円だった。外国株式はマイナス10.97%と11年7-9月期以来の低収益率で、収益額はマイナス3兆6552億円。外国債券はそれぞれマイナス1.26%、マイナス2408億円だった。収益が唯一増えた国内債の収益率は0.60%、収益額は3022億円と3四半期ぶりにプラスとなった。

  年金特別会計が管理する資金も含めた積立金全体に占める国内債の割合は38.95%と6四半期ぶりに上昇した。国内株は21.35%、外株は21.64%にそれぞれ低下。外債は13.60%、短期資産は4.46%にそれぞれ上昇した。全体の5%を上限とするインフラ投資やプライベートエクイティ(PE、未公開株)、不動産などのオルタナティブ(代替)投資はほぼ変わらずの0.05%だった。

  GPIFの三石博之審議役は同日の記者会見で、収益率について、「GPIFが設立された06年度以降では年平均2.82%。長期的に見れば安定した収益を確保している」と説明。「内外株式とも10月以降は大きく回復基調にある」と述べた。

  GPIFは昨年10月末の資産構成見直しで、経済活性化による将来の金利上昇を視野に国内債の目標値を60%から35%に下げた一方、内外株式は12%から25%へ、外債は11%から15%へそれぞれ引き上げた。5%だった短期資産は各資産に分散して管理。デフレに強い国内債への偏重から、株式と債券が半分ずつで国内資産6割・外貨建て資産4割という分散型に変えた。

  目標値からの乖離(かいり)許容幅も変更。国内債は従来の上下8%から同10%に、国内株は6%から9%に、外株は5%から8%に広げた。一方、外債は5%から4%に縮小。保有資産の大規模な入れ替えが市場に悪影響を及ぼさないよう、移行期間や期限は設けず、乖離許容幅からの超過を容認するとした。

  中国の人民元切り下げをきっかけとした8月以降の世界的な市場の混乱は、GPIFにとって資産構成の変更がほぼ一巡した局面と重なった。リスク回避の局面で円建ての価格が低下しがちな内外株式と外債を増やしたことが収益のマイナス拡大につながった。ただ、内外の株式相場は先月以降は回復し、米国の利上げ観測を背景に円安・ドル高圧力も強まっている。

  長期金利の指標となる新発10年物国債利回りは9月末に0.35%。6月末から10.5ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下した。TOPIXは13.5%低い1411.16。米国債の10年物利回りは2.04%と32bp下げた。MSCIコクサイ・インデックスは円換算で10.34%下げた。円の対ドル相場は1ドル=119円88銭と2.1%上昇した。

(第6段落にGPIF関係者のコメントを追加して更新します.)
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