1日の東京外国為替市場ではドルが反落。12月の米利上げの織り込みが進む中、欧州中央銀行(ECB)の政策委員会や米雇用統計など重要イベントを週後半に控えて、ドル買いの流れが一服した。

  一方、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が一部投資について為替変動リスクのヘッジを開始したとの米紙報道を手掛かりに、円を買う動きが強まる場面も見られた。

  ドル・円相場は一時1ドル=122円64銭までドル売り・円買いが進み、午後3時52分現在は122円91銭前後。前日の海外市場では123円34銭と11月19日以来のドル高・円安水準を付けていた。

  FXプライムbyGMOの高野やすのりチーフ・ストラテジストは、12月の米利上げ開始はほぼ織り込まれてしまっており、「その後に思った以上に連続的な利上げが示唆されたりということがないと、出尽くしとなる可能性が高い」と指摘。その上で、ドル・円については、「基本的にはユーロ安に支えられて、全般的なドル高の中での円安ということで円が主導して動いているわけではない」とし、ユーロが下がればその分ドル高・円安も進むが、「ドル・円が主導して上がっていく展開にはなりにくい」と語った。

GPIFヘッジ報道

  米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)は、GPIFが短期的なユーロ相場の変動に対応するため、少額のヘッジを開始したと事情に詳しい複数の関係者からの情報として伝えた。
   
  ユーロ・円相場は1ユーロ=130円台前半から一時129円76銭と、前週末に付けた4月28日以来のユーロ安・円高水準(129円67銭)付近まで円買いが進行。その後130円台を回復し、同時刻現在は130円17銭前後となっている。

  野村証券の池田雄之輔チーフ為替ストラテジストは、WSJの報道について「ユーロに関しては、将来の国民に対する説明の意味でも、ECBがマイナス金利の拡大に動こうとしている中でヘッジをするということはある程度正当性があるという判断をしているかもしれない」と指摘。一方、米国が利上げを開始し、ドルが上がっていくことがかなりはっきりしている中で「対ドルでのヘッジは考えにくい」とし、「対ユーロでは円高のインプリケーションはあるが、対ドルでは全くないと思う」と語った。

欧米イベント

  ECBは3日に政策委員会を開き、債券購入プログラムの拡充や中銀預金金利(現行マイナス0.2%)の引き下げなど金融緩和の拡大を議論する。ブルームバーグがまとめたエコノミスト調査では、全員が金融緩和の拡大を予想。大半が複数の措置の組み合わせを見込んでいる。

  一方、米国では2日にイエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長の講演、3日に同議長の議会証言、4日に11月の雇用統計の発表が予定されている。

  ブルームバーグが先物データを基に算出した米利上げ予想確率によると、今月15、16日のFOMCで利上げが実施される確率は74%。1日発表の11月の米供給管理協会(ISM)製造業景況指数は50.5と10月の50.1を上回ると予想されている。

  ユーロ圏と米国の金融政策の方向性の違いが意識される中、ユーロ・ドル相場は前日の海外市場で1ユーロ=1.0558ドルと4月14日以来の水準までユーロ安・ドル高が進行。この日の東京市場では1.05ドル台後半でもみ合う展開となった。

  FXプライムの高野氏は、ECBの追加緩和については、購入額の拡大や期間の延長、預金金利の引き下げまでは完全に織り込み済みで、金利の引き下げ幅や購入対象資産の拡大などが焦点になると指摘。その上で、ECB会合を控えて、ユーロは「確実に利食いが入っている感じ」だが、「流れ的にこれでユーロ安が終わったという感じではない」と話した。

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