石油輸出国機構(OPEC)は12月4日にウィーンで総会を開く。原油価格押し上げよりも市場シェア確保を目指す戦略が維持されれば、大半の加盟国は国内予算を均衡させることができなくなる可能性が高い。

  原油先物価格は前回OPEC総会が開かれた6月以降、25%余り下落しているが、ブルームバーグがアナリストとトレーダー30人を対象に実施した調査によれば、OPECは競合する生産国に打撃を与えるため、生産量を維持すると予想されている。北海ブレント原油価格の来年の平均は1バレル=約57.50ドルと予想されており、財政を均衡させることができるのはカタールだけとなる可能性がある。

  以下にOPEC加盟国とアナリストらによる最新のコメントをまとめた。OPECの供給量に占める各国の割合は10月の水準を基にしている。各国の予算均衡に必要な原油価格水準は、特に明記していない限り国際通貨基金(IMF)のデータに基づいている。

アルジェリア
・予算均衡に必要な原油価格:96ドル
・OPECの生産に占めるシェア:3.4%
・8月にOPEC臨時総会を開催しようとしたアルジェリアの取り組みは実らず、OPEC非加盟国への減産呼び掛けは聞き入れられなかった。アルジェリアは、価格押し上げに向け、OPECとOPEC非加盟国によるサミット開催を呼び掛けるベネズエラの動きを支持している。

アンゴラ
・予算均衡に必要な原油価格:90ドル(ING銀行のデータ)
・OPECの生産に占めるシェア:5.6%
・アンゴラの原油輸出は中国に大きく依存している。税関当局のデータによると、アンゴラは10月に中国にとって第2位の原油供給国となった。中国経済の鈍化はアンゴラの輸出見通しの不透明感の高まりにつながる可能性がある。

エクアドル
・予算均衡に必要な原油価格:120ドル(ING)
・OPECの生産に占めるシェア:1.7%
・コレア大統領は、OPECの年間生産量を1.6%削減すれば「大幅な」価格押し上げにつながる可能性があると提案。エクアドルは8月にOPEC加盟国で初めて原油生産が採算割れとなっていると表明した。

イラン
・予算均衡に必要な原油価格:87ドル
・OPECの生産に占めるシェア:8.4%
・イランは、制裁が強化される2012年より前はOPEC2位の産油国だった。現在は5位。制裁解除後の半年以内に日量100万バレルの増産を計画。イランは、OPECが生産目標の日量3000万バレルの枠内でイランの増産余地をつくるべきだと主張している。

イラク
・予算均衡に必要な原油価格:81ドル
・OPECの生産に占めるシェア:13%
・イラクは6月に過去最高の日量440万バレルを生産。産油量は過去5カ月にわたり同400万バレルを超えた。同国の生産は、米国と並び、今年の世界の原油供給過剰の大半を占めるとみられている。

クウェート
・予算均衡に必要な原油価格:67ドル
・OPECの生産に占めるシェア:8.7%
・キャピタル・エコノミクスによれば、クウェートは経常黒字のため長期化する原油安に対して最も耐性があるとみられている。米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)が報じたところでは、クウェートはベネズエラによるOPEC非加盟国とのサミット開催の提案には反対した。

リビア
・予算均衡に必要な原油価格:269ドル
・OPECの生産に占めるシェア:1.3%
・OPEC加盟国で産油量が最も少ないリビアは11年の「アラブの春」の前の生産水準である日量160万バレルを回復できていない。内戦が激化する中、過去1年間の産油量は同25万バレルと85万バレルの間で変動している。

ナイジェリア
・予算均衡に必要な原油価格:120ドル(ING)
・OPECの生産に占めるシェア:6.3%
・ナイジェリアのカチクウ石油省次官は21日、40ドルの価格水準は容認できず、OPECは生産目標順守に向け行動を強化する必要があると指摘。60ドルの方がより「許容できる」と表明した。

カタール
・予算均衡に必要な原油価格:55.50ドル
・OPECの生産に占めるシェア:2%
・OPEC加盟国の中で、カタールは予算均衡に必要な原油価格が最も低い。ただ、依然として現行価格を約10ドル上回っている。同国のサダ・エネルギー・産業相は、OPEC非加盟国の供給の伸びが鈍化すると予想されるため、来年は市場が回復する兆しがあると述べた。

サウジアラビア
・予算均衡に必要な原油価格:106ドル
・OPECの生産に占めるシェア:32%
・OPEC最大の産油国であるサウジは市場シェアを確保する戦略を維持し、過去10カ月のうち8カ月で生産を増やした。7月の産油量は過去最高の日量1060万バレル。しかし、原油価格下落の影響を免れているわけではない。同国の外貨準備は6470億ドル(約79兆4000億円)に上るが、スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は、同国の歳入の80%がエネルギー輸出に依存しているため、財政赤字拡大への懸念から10月にサウジの信用格付けを引き下げた。

アラブ首長国連邦(UAE)
・予算均衡に必要な原油価格:73ドル
・OPECの生産に占めるシェア:9.2%
・UAEのスハイル・エネルギー相は18日、OPECは生産が変動する供給者と考えられるべきではなく、安定した低コストの供給者と考えられるべきだと述べた。

ベネズエラ
・予算均衡に必要な原油価格:125ドル(ING)
・OPECの生産に占めるシェア:7.8%
・ベネズエラのデルピノ石油・鉱業相はOPECに対し、生産能力への新規投資コストをカバーする88ドルの「均衡価格」を適用しなければ、価格は20ドル台半ばに下落するリスクがあると指摘した。

原題:Oil States Need Price Jump to Balance Budget: OPEC Reality Check(抜粋)

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