アジア開発銀行(ADB)は年末にも発足するアジア投資銀行(AIIB)との協調融資を来春にも実現することを念頭に、対象となるアジア域内でのインフラ投資案件の選定に着手した。これまで培ってきたノウハウを生かし、AIIBの立ち上げに協力する。中尾武彦総裁が12日、都内でブルームバーグのインタビューに語った。

  中尾氏は「来春にもAIIBが始めるだろう最初の案件の中にADBとの協調融資が含まれると良いと思っている」と発言。その上で「ADBの持つ50年弱の経験をシェアし、協力していきたい」と述べ、「一番端的な協力の形が協調融資だ。対象となるプロジェクトの選定を始めるようすでにスタッフに指示している」と語った。

  協調融資の早期実現については「ADBとAIIBが両方考えている話だ。われわれからすれば案件に対して自分達の資金だけでなくAIIBの資金も合わせて動員することでより大きなプロジェクトができる。誰もが望んでいることだ」と語った。

  中国主導のAIIBには欧州各国を含む57カ国が創設メンバーとして参加を表明。初代総裁に指名されている金立群氏は9月、「加盟国数は間もなく70を超える」と述べ、67カ国・地域が加盟するADBを上回る見通しを示した。一方で、ADBの筆頭株主の日米両国はAIIBへの参加判断を先送りした。日本はADBとも連携し、今後5年間でアジア域内のインフラ投資に総額1100億ドル(約13兆円)を提供する方針だ。

  中尾氏はAIIBとの役割分担について「あまり考えていない。ADB自身がインフラ銀行。今まで貸し付けの8割はインフラだ。プロジェクトをやっていく中で一緒に進めていくことはできる」と述べるとともに、「われわれが利害の一致をみなければ融資をすることはない。利害が大きく対立するというより、すみ分けはできる」との認識を示した。

  ADBは10年間で8兆ドルが想定されている莫大(ばくだい)なアジア域内のインフラ需要も背景に、年間130億ドルだった融資枠を200億ドルに5割拡大すると5月に発表した。中尾氏は「ADBにとって最大の課題は拡大された貸し付け能力をどういうふうに有効に使っていけるかだ」と強調。資本については「直ちに増資をする必要はない。今後、必要になれば増資を求めて行きたい」と述べた。

  

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