東京外国為替市場では、ドル・円相場が1ドル=118円台後半で推移。日本株の反発を背景に一時ドル買い・円売りが優勢となったが、米国の年内利上げ観測の後退がドルの重しとなり、その後は値を戻す展開となった。

  15日午後3時50 分現在のドル・円相場は118円77銭付近。朝方に付けた118円70銭から一時119円17銭まで水準を切り上げたが、取引終盤にかけて118円70銭台に値を戻した。前日の海外市場では、米国の小売売上高や地区連銀経済報告(ベージュブック)が弱い内容となったことを受けて、一時118円63銭と9月4日以来の水準までドル安・円高が進んだ。

  マネースクウェア・ジャパン市場調査部の山岸永幸シニアアナリストは、「米小売売上高の結果を受けて、年内の利上げも難しいという見方が強まった」とし、ドルの上値はかなり重くなっていると指摘。ドル・円が水準を切り上げた場面に関しては、「日本株もドル・円も、下値の節目をいったん試した後のテクニカルリバウンドという状況」と話していた。

  この日の東京株式相場は日経平均株価が反発し、前日比205円90銭高の1万8096円90銭で終了。中国株式市場では上海総合指数が続落して始まった後、プラス圏に浮上している。

  バンク・オブ・アメリカ・エヌ・エイ外国為替本部の岩崎拓也営業本部長は、「ドル・円は弱い小売売上高やベージュブックなどを受けて下落したが、118円60-70銭水準は足元のレンジの下限であり、買いも出やすい水準」とした上で、8月、9月の統計を見ると国内投資家勢が対外投資を行っているため、「そういう動きも想定されやすいところだ」と説明。一方、「海外投資家を中心とした中央銀行の政策格差を材料にしたドル買いは元気がなく、戻りは鈍い」と語った。  

  ユーロ・ドル相場は一時1ユーロ=1.1495ドルと8月26日以来の水準までドル安・ユーロ高が進み、同時刻現在は1.1484ドル前後。主要10通貨に対するドルの動きを示すブルームバーグ・ドル・スポット指数は一時1181.86と、8月24日以来の水準まで下落した。

  岩崎氏は、「ドル・円に限らず、ユーロ・ドルが1.15ドルという節目に迫っているほか、ドルインデックスが2014年からのサポートラインを試している状況で、重要なポイント」と指摘。「短期的には欧州や日本で追加緩和期待が弱まった場合、ドル・円のレンジ下限やユーロ・ドルの1.15ドル突破といったこともあり得る」とみる。

米年内利上げ観測が後退

  14日に米国で発表された9月の小売売上高は前月比0.1%増と、ブルームバーグがまとめた市場予想の中央値0.2%増を下回った。自動車を除くベースでは0.3%減と、1月以来の大幅マイナス。市場予想は0.1%減だった。また、9月の生産者物価指数は前月比で0.5%低下と、1月以降で最大の落ち込みとなった。市場の予想は0.2%低下だった。

  米連邦準備制度理事会(FRB)が14日に公表したベージュブックによると、8月中旬から10月初旬にかけて米国経済は緩慢な成長が続いた。ドルの上昇が製造業や観光業を圧迫したことが背景。

  三菱東京UFJ銀行の野本尚宏調査役(ニューヨーク在勤)は、小売売上高やベージュブックがドル売りのきっかけになったと言い、市場の年内利上げ確率予想も低下していると説明。「ドル・円は118円を割れると何となく下方向の雰囲気が漂ってくるが、118円をキープできれば、またレンジになるという気がする」とした上で、この日の米国時間に発表される消費者物価指数(CPI)の結果や、FRB当局者が年内の利上げについてどのような見解を示すかが焦点になると言う。

  米フェデラルファンド(FF)金利先物が示す市場の利上げ確率予想は、14日時点で年内が30%前後と、13日時点の40%以上から低下している。野本氏は、「雇用統計が崩れて、インフレ期待がまったくないので、データからすると年内の利上げはないということになるが、連銀総裁などがずっと年内と言い続けているので、仕方なくちょっと織り込んでいるという感じだと思う」と話す。

  この日の米国時間には9月のCPIが発表される。野本氏は、「CPIが弱いと、年内利上げをみている人がドルを売ってくる」可能性があると言い、その場合のドル・円相場は「118円ぎりぎりという感じではないか」と見込む。

最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE