国の基準に満たない建物向け免震装置が問題となっていた東洋ゴム工業は、一般産業用の防振ゴム部品の一部でも問題行為があったことを確認したと発表した。

  14日の公表資料によると、納入先に交付する製品検査成績書に不実記載があったことが社内調査の結果、判明した。国土交通省と経済産業省から調査報告などの指示を受けており、速やかにしかるべき対処をするとした。過去10年に製造・販売して不実記載の疑いが判明した製品(船舶用、鉄道車両用、建設機械用など)を確認したところ、問題行為があったのは18社に納入した計8万7804個。

  具体的には、出荷する部品のゴム材料試験を実際には行っていなかったにもかかわらず、検査成績書に過去のデータを転記したり、計算によって得た数値を記載していたほか、求められる規格値に満たない結果となった試験成績を改ざんし、規格値を満たした数値を記載するなどしていたという。問題のある製品がどこに使用されているかの把握に努めており、納入先とは交換の必要性の有無を含め協議・検証を継続中とした。

  東洋ゴムの石野政治常務は同日の会見で、05-15年に製造・販売の製品を対象とした今回の調査は第一弾とし、今後は第二弾として95年までさかのぼり、「調査を続けていきたい」と述べた。「最後の不実記載は8月19日まで行われていた」とも語った。問題の製品の納入先は現時点の調査で、すべて国内メーカーで海外は含まれていなかったという。問題となった防振ゴム製品の年間売上高は約20億円で、単価は数千円から数十万円。

  東洋ゴムの高木康史常務は、今回の問題が起こった子会社の明石工場について「抜本的な対策が必要」と指摘し、不実記載への関与が「1人だけではないということだけは判明している」と述べ、OBを含め約20人をヒアリング中と話した。

  国交省・技術審議官の池田豊人氏は同日、問題の防振ゴム部品について記者団に対し、新幹線と航空機には使われていないと述べ、直ちに危険が生じるとは考えにくいと話した。一方、具体的な船舶、鉄道車両の納入先は定かになっていないとし、海外に輸出した可能性はあると語った。

  楽天証券経済研究所シニアアナリストの土信田雅之氏は電話取材に対し、前回の免震ゴム問題は国内市場の不正被害にとどまったが、今回は世界市場に広がる可能性があると指摘。まずは今回の被害の全容と被害額を見極めることが大切と述べた上で、なぜ同じような問題が起こるのか、検証する必要があるとの見解を示した。

  バリューサーチ投資顧問の松野実社長は電話取材に対し、独フォルクスワーゲン問題の日本版にしてはいけないと述べ、政府は早急に対応して全容を把握すべきだと指摘。日本製品の高品質のイメージを壊しかねないと話した。

  問題の製品を鉄道車両に使用しているのかとの取材に対して、西日本旅客鉄道(JR西日本)広報担当の石原知幸氏は使用していることを確認した。東海旅客鉄道(JR東海)広報担当の渡邊聡広氏は、問題の製品を使用した車両があるとし、現在詳細を確認中とした。東日本旅客鉄道(JR東日本)広報担当の砂川裕氏は、東洋ゴムの製品は使用しているが、問題のある製品を車両に使っているかどうか現在確認中とした。

  東洋ゴムでは今年3月に建物向け免震装置が国の性能基準を満たしていなかったことが発覚。社内で法令順守の強化に取り組むなど再発防止に努めていた。今回の防振ゴムでの問題行為は今年8月に社内から寄せられた情報をもとに事実関係の調査を進めていた。9月2日時点で疑いがある製品の出荷を停止し、同28日に国交省と経産省に報告したという。

  この問題に関連した費用発生に対する想定材料が不十分で業績影響への算定はできないとした上で、影響が判明次第、適切に公表する予定とした。東洋ゴムの株価終値は前日比13%安の2395円となった。

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